IT企業のレイオフに関するニュースが相次いでいるが、IT専門家の雇用の見通しは明るい。問題はただ、新たな技術とビジネスから突きつけられる無慈悲な要求にどう対応していくかということだけだ。2023年9月に発表された米労働統計局の分析によれば、ソフトウェア開発者、品質保証アナリスト、テスターの全体的な雇用は2022年から2032年にかけて25%増加すると予測されており、その雇用の増加速度は「全職種の平均よりもはるかに速い」とされている。
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米労働統計局は、「ソフトウェア開発者、ソフトウェア品質保証アナリスト、テスターに対する需要増は、人工知能(AI)、モノのインターネット、ロボット工学、その他の自動化アプリケーションのためのソフトウェア開発が継続的に拡大していることを反映したものだ」と述べている。
しかし、IT関係の雇用機会が潜在的に増えているという話は、物語の一面に過ぎない。本当に重要なのは、ごく近い将来に到来するであろうITの仕事の変質だ。AIやローコード/ノーコード開発プラットフォームなどの技術が普及すれば、面倒な手作業は減り、より高度な仕事が増えていく可能性がある。たとえ現在AIに携わっている人々であっても、スキルを拡大しなければならない立ち位置に置かれるかもしれない。
スキルに対する要求が変化していることは、LinkedInのEconomic Graph が公表した調査でも裏付けられている。LinkedIn Learningのコンテンツ戦略グローバル責任者を務めるDan Brodnitz氏は、「私たちは、仕事をするために必要とされるスキルが急速に変化し続ける時代に生きている」と語っている。Brodnitz氏によれば、LinkedInのデータから得られた分析結果は、「LinkedInのメンバーの半数以上が、今後AIによって破壊されるか、補完される可能性がある仕事に就いており、私たちの仕事に必要なスキルは、2030年までに最大で65%変化する可能性がある」ことを示しているという。
Tech Mahindraのエンタープライズテクノロジー担当プレジデントHarshul Asnani氏は、日常的な仕事にAIや機械学習が使われるようになったことで、「一部のIT関係のスキルはパラダイムシフトに直面している」と述べている。これには、これまで人間によって処理されていた反復的かつルールに従って行うあらゆる作業が含まれており、「簡単なデータ入力作業、標準的なアプリケーションの定型的なコーディングに加え、初歩的なデータ分析の一部でさえ、AIアルゴリズムによって自動化されつつある」とAsnani氏は言う。