クラウドやAIが、地域を拠点に活動する中堅・中小のIT企業を取り巻くビジネス環境を激変させている。
平成の合併で約1700になった主要な顧客である自治体は今、ITシステムの標準化や共通化を図り、それぞれが数百万円、数千万円の非効率なIT投資をやめようとしている。そこに、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoftなど米国のクラウドベンダーが日本市場を席巻し始める。ソフトウェアの民主化、つまりユーザーの内製化も進む。その嵐が人月ベースの受託開発ビジネスだけではなく、データセンターを展開するIT企業にも吹き荒れ始めている。
そこで、地域を拠点に地場の企業や自治体などをサポートする滋賀県の日本ソフト開発 代表取締役会長の藤田義嗣氏、山梨県のワイ・シー・シー 代表取締役社長の長坂正彦氏、三重県のミエデン 代表取締役社長の小柴眞治氏に、現状の認識と課題、今後の展開を聞いた。
左からミエデンの小柴眞治氏、FCAの広瀬敏男氏、日本ソフト開発の藤田義嗣氏、ワイ・シー・シーの長坂正彦氏
3社に共通するのは、富士通製のハードウェアなどを使ったデータセンターを各地で手掛けるFCA(富士通系情報処理サービス業グループ)のメンバーで、「地域の情報社会づくりを推進してきた」と自負すること。ちなみにFCAの会員107社の合計売り上げは1兆3259億円(2022年度)、従業員数は4万4918人になる。従業員1人当たり売り上げは3000万円弱で、受託ソフト開発会社のおおよそ倍の規模になる。
FCA会長の広瀬敏男氏(富士通Japan 取締役シニアアドバイザー)は「地域のユーザーとの信頼関係があり、第一の相談相手になる」と存在価値を説明する。