5Gは、デバイスの使い方を一変させる力を持つ最先端技術であるにもかかわらず、その機能とユーザーにとっての潜在的なメリットはまだ広く理解されていない。
5G自体は、より強力かつ高速なインターネット接続をサポートする最新のブロードバンドセルラーネットワーク世代のことだ。4Gですでに、テキストメッセージやデータストリーミング、ウェブブラウジングなどの高度な機能がサポートされていたが、ミリ波技術を組み込むことで、それらをさらに発展させている。
「つまり、5Gで何ができるかというと、4Gも使えるし、ミリ波も利用できるということだ」。ウースター工科大学大学院副学部長のAlexander Wyglinski氏はこのように語る。
「ミリ波とは、非常に優れた、すなわち高速のデータ通信の技術だ」
多くの人は5Gの機能に関する知識が限定的で、スマートフォン画面の右上に時々表示されるアイコンによって、接続が改善されることしか知らない。
5Gは、モバイル接続の改善にとどまらず、生活の多くの面を向上させる可能性があり、それらはモノのインターネット(Internet of Things:IoT)の直接的な改善から、ヘルスケア、自動運転、ドローン技術といった画期的なソリューションまで、多岐にわたる。
「あらゆるデジタル体験の境界線が5Gによって曖昧になり、消費者はライブメディアやエンターテインメントの消費、健康状態やウェルネスの追跡と管理、自宅や家族の安全の監視が、時間と場所を問わず可能になっている」。Deloitte Consulting LLPのプリンシパルであるDan Littmann氏はこう語った。
米ZDNETは複数の専門家に話を聞き、5Gがワークフローと日常のプロセスの改善によって生産性や暮らしの快適さを向上させる4つの用途をまとめた。
1. ビデオ接続の改善
パンデミックによってリモートワークが一般化し、ハイブリッド/リモートワークモデルが定着した。その結果、ビデオ会議が多くの人の日常のワークフローを支える土台となった。
円滑で遅延のないビデオ通話には、強力で信頼性の高い接続が不可欠だが、そのような接続はWi-Fiの制約が原因で実現困難であることが多い。そこで、5Gの出番だ。
「5Gの改善された帯域幅と低遅延により、リモートワーカーは高解像度のビデオ会議に中断や遅延なしで参加できるため、より良いコミュニケーションと共同作業が促進される」とGartnerのテクノロジーおよびサービスプロバイダーリサーチグループのバイスプレジデントアナリストのPeter Liu氏は述べた。
また、有線イーサネットケーブルによってインターネット接続の信頼性と速度が向上するという理由で、デバイスの接続に有線イーサネット接続を選ぶ人が多いが、5Gがあれば有線接続なしで済むようになる。
ビデオ接続の改善は、ビデオ会議だけでなく、ビデオストリーミングにも効果がある。5Gには高品質のビデオストリーミング機能があるため、「Netflix」や「YouTube」などのお気に入りのコンテンツをストリーミングする際に速度と品質が向上する。
2. 速度の向上
先述のように、5Gは携帯端末に高速インターネット接続を提供可能であることがよく知られている。この高速接続機能を携帯端末だけに留めておく必要はない。あらゆるデバイスの向上が可能で、これにはワークフローをより直接的に支援できるデバイスが挙げられる。
「あらゆるセルラーテクノロジーに期待されるシームレスでリアルタイムの接続を、すべてのテクノロジーに拡張する。それが5Gだ」とWyglinski氏は語る。