大林組とNTT Com、ドローン活用の完全無人巡回による建設現場の工事進捗管理を実証

NO BUDGET

2024-03-28 07:00

 大林組とNTTコミュニケーションズ(NTT Com)は、屋内建設現場における施工管理の効率化に向けて、ドローンを活用した完全無人巡回による工事進捗(しんちょく)管理の実証実験を3カ月間実施した。

 ドローンの利用では従来、離着陸やバッテリー交換のために操縦者が現場にいる必要があったが、同実証では自動給電可能なドローンポートと専用のドローンポートシステムを導入することにより、ドローンのみの完全無人巡回を実現した。

 実証の結果、屋内建設現場の巡回・記録に要する時間を従来の1時間から10分に短縮するとともに、日々変化する状況下において安全に自動巡回ができると確認した。

 今回の実証は、東京都港区の大規模建設現場で実施された。実証期間は2023年11月から3カ月。平日の21時から約10分間の飛行を合計56回実施した(写真1)。

写真1
写真1

 この現場は地上と地下の工事を並行して実施しており、地下空間では重機による掘削作業が行われていたため、職員の立ち入りが困難で進捗管理に時間を要していた。実証では、Skydio製の自律飛行型ドローン「Skydio 2+」と専用のドローンポートシステム「Skydio Dock and Remote Ops.」を活用し、操縦者を不要とすることで進捗管理の効率化を図った(写真2)。

写真2
写真2

 Skydio 2+は、機体の上下に搭載されたカメラで取得した映像から、周囲の三次元環境と自己位置を推定する。これにより、工事の進捗により周囲の状況が変化した場合でも障害物を回避し、安全に自動巡回できるという。Skydio Dock and Remote Ops.は、事前の飛行ルートやスケジュールをクラウドサービス「Skydio Cloud」上で設定する機能を搭載している。

 自動離発着、自動給電機能も備えており、特に大規模現場において課題となる、現場と現場事務所間の行き来に要する手間と時間を削減できる。ドローン映像のリアルタイム配信機能により遠隔地から現場状況を確認することが可能となり、施工管理者や普段現場に立ち入ることのない発注者も安全に工事の進捗を確認できる。

 建設業界では、工事写真の撮影および測量を目的にドローンの利用が進んでいるが、屋外での使用が多く、衛星測位システム(GNSS)が取得できない屋内での活用は進んでいない。大林組とNTT Comは、2021年より現場巡回をはじめとする施工管理業務の効率化を目指し、屋内建設現場でも安全に自動巡回できるドローンの活用に向けて、運用検証を共同で実施してきた。

 両社は今後、2024年度内に建設現場での本運用開始をめざし、現場への導入支援体制を整備する。また動画から切り出した連続的な静止画を点群生成ソフトで解析し、三次元点群データや3Dモデルの作成に取り組む(写真3)。

写真3
写真3

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]