NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は4月19日、法人企業を対象とした5Gサービス「5Gワイド」を22日から提供することを明らかにした。端末やサービスごとに最適化したネットワークを複数作成して管理するスライシング(分割)にも対応し、5Gワイドをサービスの一部に加えたコンサルティングサービス「docomo business プライベート5G」も22日から提供する。
NTT Com 岩本氏
NTT Com プラットフォームサービス本部 5G&IoT部 5Gサービス部門 部門長の岩本健嗣氏は、顧客企業から「事業のシステム要件を満たし、混雑時でも安定するネットワーク、多様なワイヤレスソリューションを検討したい、との声をいただいている」と述べつつ、多様な場面で通信性の向上と安定化を実現する5Gワイドをアピールした。料金などは同社への問い合わせが必要となる。
NTTグループは2020年3月末から5Gネットワーク対応を展開し、2023年12月末時点で当初の500局を大きく上回る3万5000局に達している。5Gネットワークが遠隔制御や遠隔指導をはじめとする遠隔化、警備・安全対策やAI画像判定を自動化する省人化、ドローン利用や自動運転にかかる無人化など枚挙にいとまがない。
既にNTT Comは、顧客施設内の5G基地局設置やイベント開催時における可搬型基地局の出勤、同社の高精度映像伝送システム「Smart-telecaster Zao-X」に医療機器を組み合わせた遠隔診察支援、農業の遠隔指導、ドローンを用いたラストワンマイル医療品配送の実証実験、遠隔作業支援ソリューション「AceReal Assist」を用いた災害対応に努めてきた。それでも多様な場面や状況下でも5Gネットワークの安定性と速度を必要とする企業の声に応えたのが5Gワイドだ。
5Gワイドの概要
5Gワイドは全国のPREMIUM 4Gエリア/5Gエリアに対応し、一般の5G SIM契約と比較してネットワークリソースが優先的に割り当てられている。例えば、一般の5Gと5Gワイドが同じ基地局を用いても、優先的な占有権でストリーミング動画を再生できる。NTT Comが混雑時の山手線車内で検証したところ、「一般回線は(低速時に)リカバリーを必要とするが、(5Gワイドは)最大スループットよりも安定化で映像品質の維持に貢献する」と岩本氏は言う。
5Gワイドの特徴
同社は大病院にローカル5Gの基地局もしくは5Gワイドを設置し、通信距離の短縮や通信のリアルタイム性とセキュリティ性を向上させる「docomo MEC」を通じて、地方病院におけるリアルタイム遠隔手術支援、自宅や診療所に対する遠隔診断を実現するという。加えて、高度な運転を自動化する自動運転レベル4を見据えたバスの遠隔監視と運行管制を基地局から実施できると説明した。
4K動画配信のデモンストレーション。左側が5Gワイド