日本オラクルは4月18日、プライベートイベント「Oracle CloudWorld Tour Tokyo 2024」を開催した。タイミングを合わせて発表された日本市場に対する80億ドル以上の投資方針などが注目を集めたが、ここではデータベースの基調講演の内容を紹介する。
Autonomous Databaseの強み
基調講演を行なった米Oracle CorporationのExecutive Vice President, Oracle Database Server Technologies Development(オラクル・データベース・サーバー・テクノロジー担当のエグゼクティブバイスプレジデント)のAndrew Mendelsohn(アンドリュー・メンデルソン)氏はまず、データベース部門の大きな方向性として「Converged Database」というコンセプトを紹介した。
Oracle Databaseはもともと、リレーショナルデータベース(RDBMS)であり、構造化データを取り扱うものだったが、現在は対象とするデータタイプが拡張され、非構造化データも取り扱えるようになっている。
米OracleのAndrew Mendelsohn氏
Mendelsohn氏は、比較対象として特定のデータタイプやワークロードに特化したデータベースの例として「Amazonでは15種類のデータベースが提供されている」と指摘し、一方、Oracleは「もうRDBMSだけではなく、非構造化データも組み合わせて使える。データウェアハウス(DWH)やアナリティクス、トランザクション処理などさまざまなワークロードに網羅的に対応している」とし、開発者の負担が異なることから「開発者の視点からは、Oracleが正しい解だ」と強調した。
同氏は「特定のワークロードに特化したデータベースでは、別の処理が必要になった場合には別のデータベースに移行したり、データを連携したりする必要に迫られる。Oracleなら1つで全てを提供できるため、こうした余分な作業は不要で、開発者はアプリケーションの開発やイノベーションに注力できる」と語った。
一方で、用途特化型のデータベースにはシンプルで分かりやすく、パフォーマンスも高めやすいというメリットがある。さまざまな用途に網羅的に対応するシステムは大規模で複雑なものとなってしまい、導入や運用管理の負担が大きくなってしまうという懸念がある。
こうした課題に対応する形で提供されているのが、マネージドサービスとして展開される同社の「Autonomous Database」だ。Mendelsohn氏はAutonomous Databaseについて「Exadata Database Serviceにクラウド型のフルマネージドサービスとエコシステムを組み合わせたもの」だと説明し、「Oracleがフルマネージドサービスとして運用管理を行うため、ユーザーは優れたエクスペリエンスを享受可能だ」とした。
さらに、新たな取り組みとしてAutonomous Databaseをさまざまなクラウドで利用可能となるようプラットフォームを拡張することも紹介された。Autonomous DatabaseはOracle Databaseの稼働環境として最適化されたハードウェアプラットフォームである「Oracle Exadataプラットフォーム」で実行されるが、従来はOracle Cloud以外の環境ではExadataハードウェアが導入されていなかったことから、「Autonomous Database Serviceを導入したことでポータビリティーが失われてしまった」という。
この状況を解消するために同社はまず、Microsoftとのパートナーシップを強化した。Microsoft AzureリージョンにExadataシステムを導入し、Exadata Database ServiceやAutonomous Database Serviceを提供する「Oracle Database@Azure」の提供を開始した。ユーザーは使い慣れたAzureの利用を継続でき、Microsoftはデータベースユーザーを獲得でき、Oracleはデータベースの利用量に応じた課金を行うということで、3者それぞれにメリットがある“win-win”の取り組みだという。さらにこの取り組みはAzure限定ではなく、「主要なクラウドベンダーと対話を行っている」といい、プラットフォームのさらなる拡大が見込まれる。