NTTデータグループがグローバルでのデータセンター事業に一層注力していく構えだ。クラウドサービスやAIの活用によって需要拡大が見込めるが、競争も一段と激しくなりそうな分野だ。果たして、どれほどの勝算があるのか。
「データセンター」「生成AI」「M&A」に注力
写真1:NTTデータグループの代表取締役社長に6月18日付で就任した佐々木裕氏
NTTデータグループの代表取締役社長に6月18日付で就任した佐々木裕氏は記者会見を開き、今後のさらなる成長に向けて、「データセンター」「生成AIをはじめとした先進技術」「M&A(合併・買収)」の3分野へ戦略的に投資していくことを明らかにした(写真1、図1)。
図1:3分野へ戦略的に投資(出典:NTTデータグループ会見資料)
佐々木氏は5月にNTTデータグループ社長就任予定の発表があった際に、前社長の本間洋氏と共に記者会見を行い、社長就任に向けた思いなどを語っていた。同氏のその際の発言のエッセンスやプロフィールについては、本サイトでの筆者のもう1つの連載「今週の明言」の5月17日掲載記事「NTTデータグループ次期社長が語った『実現したい企業像』とは」をご覧いただきたい。
5月の会見では、実現したい企業像として「今の面白い時代を社員一人一人が楽しんでいける会社にしたい」とマネジメントの観点から述べていたのに対し、今回の会見では「戦略的投資」との言葉を使ってビジネス面での方針を打ち出した格好だ。
その中から、本稿ではデータセンター事業に注目したい。というのは、NTTグループとして10数年前からグローバルで取り組んできたデータセンター事業に対し、筆者はかねて強い関心を持ち、かつてはそのデータセンター群を使ってハイパースケールのパブリッククラウドサービスを手掛けようとした動きと共に幾度も記事にしてきた背景があるからだ。
佐々木氏および同氏と共に今回の会見に登壇した海外事業会社NTT DATA 代表取締役社長のAbhijit Dubey(アビジット・ドウベイ)氏によると、NTTデータグループのデータセンター事業は競合するデータセンター事業者の中で現在、世界第3位。2023年から2027年にかけて110億ドル(約1兆5000億円)を投資する計画だ。現状では、NTTグループとして世界で150カ所を超えるデータセンター拠点を保持しており、これをさらに拡充していく構えだ。
今後のデータセンター事業については、「クラウドサービス需要の拡大、中でもAI活用を支えるインフラ需要の急拡大に対応し、優良な建設地において設備にサステナブルな先進技術を適用することで、持続的な成長を図っていきたい」(Dubey氏)とのこと。サステナビリティーに向けては、同事業として2030年までに100%の再生エネルギー利用およびネットゼロエミッションの実現をコミットしている(図2)。
図2:データセンター事業の概要(出典:NTTデータグループ会見資料)