アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は4月16日、「生成AI実用化推進プログラム」に関する2024年の成果と同プログラムの追加コースを発表した。また、同日に行われた発表会では、AI実用化推進プログラムに参加して組織内の生成AI活用を推進した企業がその取り組みを紹介した。

左から、エイチ・アイ・エス DX推進本部 サービスプラットフォーム企画部 李章圭氏、フリー AIプロダクトマネージャー 木佐森慶一氏、NTTデータ テクノロジーコンサルティング事業部 課長代理 藤田森也氏、国土交通省 総合政策局 情報政策課 総括課長補佐/Project LINKS テクニカルディレクター 内山裕弥氏、野村総合研究所 AIソリューション推進部 大河内悠磨氏、AWSジャパン サービス&テクノロジー事業統括本部 技術本部長/ソリューションアーキテクト 小林正人氏
2024年7月に発表したAI実用化推進プログラムは、日本企業における生成AIの実用化を加速させる目的で提供が開始された。同プログラムは、カスタムモデルの開発や改良に取り組むモデル開発者向けの「モデルカスタマイズコース」と、公開モデルで課題解決に取り組む「モデル活用コース」を展開しており、2024年は結果として150社以上が参加したという。
同社 代表執行役員社長の白幡晶彦氏は、「AWS(Amazon Web Serivces)はビルダーの皆さまを一貫して支援してきた。ビルダーは開発者のみを意味するものではなく、未来を共につくる皆さまと捉えている。そのため、生成AIコミュニティーの推進も強力に支援していく。過去1年のAWSによる支援を通して、参加企業同士の学びと事業共創にも発展しているとうかがっている」と述べ、「生成AI実用化推進プログラムのコミュニティーは、ビジネス層やアプリケーションの開発者、モデル開発者というさまざまな異なる視点や経験が出会い、新しい価値を生み出す貴重な場を提供していると考えている」と話す。
同プログラムはコミュニティーでのつながりも大切にしており、「GENIAC Community powered by AWS」などの開発者向け勉強会や、生成AIモデル開発者とモデル利用者が参加する「生成AI Frontier Meet Up」を開催している。AWSジャパン サービス&テクノロジー事業統括本部 技術本部長/ソリューションアーキテクトの小林正人氏は、「コミュニティーイベントでは、実際に作る人、使う人それぞれが混ざり合うような形で議論をし、それによって開発が進んでいるお客さまからこれから取り組もうとするお客さまが学びを得ている。また、このコミュニティーの場があったからこそ生まれた協業のディスカッションもあったので、非常に良い取り組みだった」と2024年の成果を振り返る。
2025年は生成AI実用化推進プログラムに「戦略プランニングコース」を加え、生成AIの適用戦略策定の支援を強化する。生成AIによる課題解決は、「プランニングフェーズ」「開発フェーズ」「展開拡大フェーズ」としており、小林氏は「生成AIをどこで使うか悩む、よりビジネスに根ざしたところで使いたいけれどどうしていくか迷う、正解を知りたいといったお客さまに対して2024年は事例をベースに議論したが、さらなる支援をすることで、お客さまの生成AI活用の道を切り開く手伝いができるのではないかと考えている」と説明する。
戦略プランニングコースは、顧客の業種・業態、ビジネスに対する深い知識や経験が不可欠であるとし、AWSパートナーとの連携を重視していく構えだ。AWSジャパンは、テクノロジーやシステムを作る上でのベストプラクティスを提供し、AWSパートナーとAWS、顧客の3社で戦略から生成AIの実装まで一気通貫で進める。現時点での提供パートナー企業は、アクセンチュア、野村総合研究所(NRI)、日本タタ・コンサルタンシー・サービシズの3社としており、今後追加予定だとしている。

戦略プランニングコースの概要
2025年の生成AI実用化推進プログラムは、引き続きモデルカスタマイズコースとモデル活用コースも用意している。同プログラムの参加募集は通年を通して行われ、個別に顧客とのディスカッションの場を設けて具体的な支援内容や時期を提案する。