荏原製作所は、グループ各社・各部門が所有するデータの活用を円滑にするため、データ仮想化ソリューション「Denodo Platform」を導入した。2024年2月から全社展開し、本格的な運用を開始したことで、利用者が自ら必要なデータにアクセスできる基盤が構築され、データの利用や活用が大きく進展している。Denodo Technologiesが4月22日に発表した。
5つのカンパニーと2万人を超える従業員を擁する荏原製作所では、事業拡大に伴い、データの活用が課題となっていた。各部門間で管理しているデータを活用したいという要望は増えていたが、受け取ったデータが要求と異なったり、必要なデータ項目が増えるたびにデータの再依頼が必要になったりと、対応に苦慮していた。
さらに、データの出所を明確にし、安心して利用できるデータ基盤を整備することが、ガバナンスの観点からも急務となっていた。そのような中、荏原製作所はDenodoのデータ仮想化技術を知り、「仮想化」という言葉に興味を持って2021年6月に問い合わせを行った。そして、仮想化の可能性を感じた同社は、小規模な概念実証(PoC)からDenodo Platformの利用を開始した。
「PoCでは、仮想化でデータの一元化が思いのほかうまくいき、これなら全社のデータを統合できるかもしれないと感じた」と担当者は述べている。複数のシステムからデータを集めて統合するシステムの構築に当たっては、各システムの仕様確認やシステム間の接続の難しさなども発生したという。これに対し、Denodoのサポートは同様のシステム間の接続環境を構築して検証を行ったり、カタログ上のスペックだけではない実用的なアドバイスをするなど、問題解決に尽力した。
「確かなサポート体制のおかげでトラブルも処理でき、スムーズに導入できた」と、荏原製作所は述べている。
現在は利用者も約800人に上り、各部門でDenodo Platformを通じて社内システムデータを活用している。Denodo Platformの導入により、データの取得や統合が容易になり、ユーザーからのニーズに迅速に対応できるようになった。
従来は、必要なデータがどのシステムのどこにあるのかを探すのに多くの時間を費やしていたが、現在ではDenodoのデータカタログを見ればすぐに分かる。これにより、時間の短縮だけでなく、データ活用の促進にもつながっている。データの所在が可視化されたことが、大きく貢献しているといえる。さらに、ユーザーがDenodo Platformに直接アクセスしてデータを抽出できるようになったため、情報システム部門は新たな社内システムの構築、管理・運営といった業務に集中できるという効果も生まれている。
荏原製作所は、今後さらにDenodo Platformを活用し、社内のデータ活用を推進させ、「Denodo Platformを見れば必要なデータは全てある」という理想の実現を目指している。