メインフレームを使い続ける上での重要な課題として、メインフレーム人材の育成が挙げられます。今回は、モダナイゼーションを推進する人材の育成について解説します。
これからのメインフレーム技術者には、従来の技術で効率よく開発、運用するだけでなく、未来を見据えた変革をリードする能力が求められます。モダナイゼーション(最新化)による変革の目的は、システムの開発や運用の俊敏性を取り戻し、コストを最適化し、持続性のある仕組みを再構築することであり、技術者の育成とともに実現する必要があります。
メインフレーム技術とモダナイゼーションのスキル
モダナイゼーションに必要なスキルは、既存のメインフレーム技術を基に課題を定義することに始まります。現状を理解し、課題を明確にすることが重要です。技術スキルの例として、次のような項目を挙げることができます。それぞれについて現状のシステムでどのような実装が行われているかを理解し、最新技術とのギャップを明確化しなければなりません。また、それぞれについて「業務アプリケーション」「インフラストラクチャー」「システム運用」の3つの観点で評価できることが望まれます。
- プログラミング言語:「COBOL」や「PL/I」、アセンブラなどのメインフレーム特有の言語への精通
- データベース管理:「DB2」や「IMS」などのデータベース管理システムの知識と経験
- サブシステム管理:「z/OS」や「CICS」、ジョブスケジューラーなどのサブシステムの知識と経験
- セキュリティ:メインフレームのセキュリティ管理とリスク評価のスキル
- 自動化:「REXX」などのスクリプト言語を使った業務運用とシステム運用の自動化
例えば、業務アプリケーションの観点では、適切なアプリケーションアーキテクチャーを基にプログラムやデータベース(DB)、オンラインシステムを設計し、効率的な開発・保守を実現するためのスキルが必要です。一方で、インフラストラクチャーの観点では、製品の特性と業務アプリケーションに適した設定が必要であり、業務アプリケーションと密接に関連しています。システム運用では、システムの最新化と業務のサービスレベルに応じた監視や対応が必須になっています。
このようにメインフレーム人材には、業務アプリケーション、インフラストラクチャー、システム運用それぞれにおいて、現状とその課題を踏まえた解決策が求められ、広範囲なスキルと新旧技術についての実践的な能力が期待されます。