シンクライアント端末を開発する米Wyse Technologyは8月、日本を中心とするアジア地域のシンクライアント需要に合わせ、日本法人を設立する。同社の2004年のアジア地域の売上額は全世界の12%だが、2005年に20%、最終的に30%までに増やす。
同社アジア・パシフィック地域本社のアンドリュー・フー氏は、個人情報保護法をトリガーとする情報漏えい対策など、国内企業のセキュリティ対策意識の高まりがシンクライアント需要を後押しすると見る。2004年の実績で3万7000台だった国内のシンクライアント市場が、2007年には9万5000台になると予測し、中国北京に設置したソフトウェア開発センターの規模を拡大。現在30人いるエンジニアを6カ月以内に50人に増強し、1年半で100人体制を確立する。
米Wyse Technology アジア・パシフィック地域本社のアンドリュー・フー氏 |
販売機会の確保戦術として、自社ブランドでの事業展開に加え、OEM(相手先ブランドによる生産)も積極的に実施する。北米ではすでに、ブレード型クライアントPCを開発する米ClearCube Technologyや米DELLに対して製品を供給している。日本法人設立後は、日本のPCベンダーに対してOEM提供を積極的に持ちかける。
シンクライアント端末とは、米Citrix Systemsの画面情報端末サーバ・ソフト「MetaFrame」や米MicrosoftのWindowsが備える遠隔操作機能などを使って、業務アプリケーションの画面情報だけをやり取りする専用端末である。シンクライアントは一般的に、MetaFrameを使うためのICAクライアント機能と、Windowsを遠隔操作するためのRDPクライアント機能を備える。
ICAとRDPは画面情報のやり取りに限るが、特定のアプリケーションソフトに限ってはシンクライアント上でも動作させる。例えば同社の製品はすべてローカルで動作するウェブブラウザを搭載する。Webアプリケーションの画面を自力で表示し操作することが可能だ。また、UNIXサーバ機側で動作するX Window Systemのアプリケーション(Xクライアント)を遠隔操作するためのX端末(Xサーバ)機能を備える製品も用意する。メインフレームの端末エミュレータ機能を持つ製品もある。