Oracleは、特定の業界を軸として自社の体制を段階的に再編成し、顧客のソフトウェア使用法に基づいた新たな価格モデルを設定する予定だと、同社プレジデントのCharles Phillipsが発言した。
PhillipsはCNET News.comのインタビューに応じ、その中で、Oracleは特定業界を対象顧客とするアプリケーションプロバイダを買収して、市場シェアを拡大していく方針だと述べた。
Oracleは、多くの顧客が存在する分野として、8つの業界を挙げている。同社は、買収を通してそうした市場における販売スキルを向上させ、それぞれの市場に特化したビジネス部門を創設していく意向だという。Phillipsは、Oracleがどのような業界をターゲットとする予定なのかは明らかにしていない。
「垂直市場向けの製品を開発し、買収を行っていく過程で、Oracleはそうした市場を軸とした組織を再編していく。その先の計画もあるが、当面は徐々に再編を進めるつもりだ。特定産業に向けたコンテンツを充実させる前に、それらに特化したビジネスを営んでも効果は薄い」(Phillips)
Oracleは2005年4月、小売アプリケーション専門企業Retekを買収して、社内に小売ビジネス部門を創設している。同社の業界ベースの組織構造を確立する構想はここに端を発している。
Oracleは、特定の業界を対象とするアプリケーション企業を取得することによって、そうした業界向けのソフトウェアおよび適切なスキルを有する人材を手にすることができると、Phillipsは話している。
「すでに優位を確立している分野をさらに極めるというのが、Oracleの戦略だ。バックオフィス関係は当社の得意分野だが、これをフロントオフィスへと伸展させたい。8つの業界をうまく取り込むことができれば、そうした分野におけるビジネスチャンスと成長の可能性は大きくなるだろう」(Phillips)
一方IBMは2003年後半、ソフトウェア販売に携わる組織を再編し、特定業界向けの製品を提供するようになっている。MicrosoftもIBMと同様に、特定の業界を専門とするアプリケーションパートナーの拡充に努めている。
Phillipsはまた、Oracleは、マルチコアチップへのライセンス体系などで、従来とは異なる価格設定の方法を取り入れているとも語っている。
同社は小売業界に従事する一部の顧客に対し、従業員もしくは店舗ごとの課金体系をすでに適用している。もっとも、価格設定の方法は業界によって異なると、Phillipsは説明している。
「従業員数や小切手の処理件数--これらは、ある種のビジネス測定基準と言える--を勘案し、それを技術の世界に適用する。また(そうすることによって獲得した)Oracleのビジネス上の成功を、顧客にも波及させていきたい」(Phillips)
Phillipsはこれとは別に、J.D.EdwardsおよびPeopleSoftのアプリケーションを使用している顧客に対して、Oracleの「Fusion Middleware」を購入できるオプションを9月から提供すると発表した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ