電力系通信事業者のパワードコムは9月8日、企業向けの広域イーサネット接続サービス「Powered Ethernet」において、アクセス回線を2重化して可用性を高めるオプション「デュアルアクセスサービス」の受注を開始する。2重化した場合の料金は、2重化しない場合の1.2倍になる。2重化時は、料金の一部を返却するSLA(サービス・レベル契約)を適用する回線停止時間も、2重化しない場合の1時間から、10分へと短縮した。
デュアルアクセスサービスは、ユーザー企業に引き込んだ光ファイバのケーブルが含む未使用の予備芯線を、回線のバックアップ用途に使う。企業は、1台のSPU(Select Port Unit、回線切り替え装置)に、2個のDSU(Digital Service Unit、終端装置)を接続し、DSUの先にあるアクセス回線をアクティブ・スタンバイ構成で縮退運転させる。SPUは、運用系の回線のリンクが切れると、自動的に予備系の回線に瞬時に切り替える。
企業は一般に、運用系の回線とは別に、バックアップ回線を用意して可用性を高める。多くの企業は、運用系の回線が普及するまでのつなぎとして使えればよいため、ADSLや家庭向け光ファイバなど、低価格なサービスを利用する。企業によっては、同様のスペックを持つ2系統のアクセス回線を同時に使って、可用性を高めるとともに負荷分散まで実施する。いずれの場合も、異なる通信事業者が提供するサービス同士を組み合わせることで、より高い可用性を得る。
一方、デュアルアクセスサービスは、同一の通信事業者が提供する同一の通信サービスを2系統、運用系と予備系として使う構成である。メリットは、低価格でありながら、通信機器が故障した場合に、復旧時間をかけることなく予備系に切り替えられる点である。2重化のために別途必要な設備投資は光ファイバの収容装置程度であるため、2重化しない場合と比べてコストがさほど変わらない。事実、デュアルアクセスサービスは1.2倍の料金体系で企業に提供する。
料金の例は以下の通り。100Mビット/秒の場合、回線使用料月額37万8000円(税別)に対して2重化オプションが月額7万5600円(税別)。10Mビット/秒の契約の場合、回線使用料月額20万円(税別)に対して2重化オプションが月額4万円(税別)。回線2重化時のSLAは最短で10分で、1回の回線停止時間が10分を超えると30%、8時間以上では80%を返金する。2重化しない場合のSLAは最短で1時間もあり、1時間以上で10%、4時間以上で30%、8時間以上で50%である。