「Firefoxのシェアを伸ばしていきたい」――。Mozilla Japanは12月16日、説明会を開催。その中で理事を務める瀧田佐登子氏は、オープンソースのウェブブラウザ「Mozilla Firefox」のシェアを伸ばすために、Mozilla Japanとして今後、営業・マーケティングを最も重要な活動にしていくと説明している。
Firefoxとオープンソースのメールクライアント「Mozilla Thunderbird」を開発する米Mozilla Foundationは今年8月に、完全子会社Mozilla Corporationを設立。Foundationの日本支部とも言えるMozilla Japanは、2004年7月に設立された非営利の法人である。
その性格について、瀧田氏は「FirefoxやThunderbirdを開発するための非営利団体であるFoundationと、同製品を開発・流通するための営利企業であるCorporationを合体させたようなもの」と説明する。ちなみに、Mozilla Japanは法的には有限責任中間法人になる。
Mozilla Japanの代表理事は、東京工科大学学長の相磯秀夫氏。理事には、瀧田氏のほかにテンアートニCEOの喜多伸夫氏、慶応義塾大学教授の徳田英幸氏が名を連ねている。そして今年6月には、現在奈良先端科学技術大学院大学で教授を務める砂原秀樹氏が就任し、11月には伊藤穣一氏が就任している。伊藤氏は米のFoundationでも理事を務め、日米のパイプ役を果たしている。
Firefoxは11月に新版となる1.5をリリース。それ以降Mozilla Japanには「個人ユーザーはもちろん、企業からの問い合わせも殺到し、Mozilla Japanはパンク状態にある」(瀧田氏)という。企業単位でもFirefoxを導入しようとする動きが見られている。
日本国内でのシェアを高めたいMozilla Japanでも「企業への導入を支援するために、企業向けのサポート部隊を作っている」(瀧田氏)。Mozilla Japanのパートナー企業であるテンアートニ、グッディ、バーチャルコミュニケーションズと連動して、企業のFirefox導入を支援している。瀧田氏は、これまでの実績について「すでにFirefoxは1万人規模の企業にも導入されている。また1社だけでなく、いくつかの企業で導入が進められている」と説明する。
企業が導入する際の具体的な支援策としては、拡張機能の開発という形で進められた。瀧田氏は「企業には、技術者だけでなく、総務などPCに詳しくない人間も存在する。そういった方たちに向けて、企業のネットワーク環境に合わせて自動的に設定を変えられるような拡張機能、いわばユーザビリティを向上させる拡張機能を開発することで、企業が導入しやすいようにした」と語っている。
「Mozilla Japanとしては、開発コミュニティからの意見・情報をまとめ、米のFoundationやCorporationと意見を交わし、パートナー企業を育成していくという形での“後方支援”の役割を果たしていく」(瀧田氏)
理事を務める伊藤穣一氏は、Firefoxが米国内で14%のシェアを獲得しているという調査結果、Firefoxの1.0がリリースされた2004年11月から現在に至るまで、1億1500万回ダウンロードされているとの実績を強調。「米IBMが社内の標準ブラウザをFirefoxを切り替えた」と説明し、日本国内でもFirefoxのシェアを伸ばしていきたいと話している。