SOAとBRMSとの関係
BRMSは、ソフトウェア部品の再利用を実現するSOAとも相性がよいようだ。ILOGでは、BRMSはビジネスユーザー側に透過性をもたらすツールであるため、SOAのメリットをさらに享受できるとしている。BRMSではビジネスルールをレポジトリに格納するが、BPMなど他のツールが利用するようなルールやルールが定義されたコンテキスト(文脈)をエクスポートできるようになれば、さらなる柔軟性をもたらすだろう。Payret氏も、「将来的には、BRMSはSOAプラットフォームの一部になると見ることもできる」と述べる。
それにつながるものとして、Forresterでは複合アプリケーションを定義している。SOAプラットフォームでは、データ、トランザクション、ビジネスプロセスとオーケストレーション、ユーザーインタラクションの4層で構成される中核を持ち、これをSOA管理(図の左側)が縦断的に管理するが、これを完全なものにするのが複合アプリケーションフレームワーク(図の右側)となる。
「このフレームワークがあることで、配信部分を完全なものにできる」とPeyret氏は説明する。複合アプリケーションフレームワークにはパフォーマンス管理、ビジネスアクティビティモニタリングなどが含まれ、BRMSはこの一部に入ることになる、というのがForresterの見解だ。これにより、ビジネスユーザーが直接アプリケーション開発に関与できる。つまり、BRMSはSOAをさらに加速する仕組みといえるだろう。
このように今後が期待されるBRMSだが、適用はこれからだ。「BRMSは現在、BPMでよく利用されているが、ビジネスアクティビティモニタリング、ライフサイクル管理などではまだまだだ」とPeyret氏。だが、ILOGが22日にリリースした最新のBRMS製品「JRules 6.0」では、インポート/エクスポートの機能を提供するなど、このトレンドをカバーしつつある、と氏は評価する。
ビジネスルールに標準化の動きも
Webサービス、SOAと同様に、ビジネスルール管理もメインフレームからの移行というトレンドとも無関係ではない。そのため、Javaルールエンジンとして開発を進めてきたILOGでは、相互運用性を重視し、早くから.NETサポートを実現している。
ILOGでチーフプロダクトオフィサーを務めるJean-Francois Abramatic氏は、相互運用性以外の今後の課題として、ビジネスルールの標準化を挙げる。最新版では、IT担当者とビジネス担当者の作業環境を完全に分離しているが、リポジトリに格納されるビジネスルールが標準化されれば、BRMS、ひいてはアジリティはさらに強化されるはずだ。
World Wide Web Consortium(W3C)で議長を務めたこともあり、標準動向に明るいAbramatic氏は、ビジネスルールにおける標準化として、Java Community Process(JCP)で進んでいるJava Rule Engine APIの「JSR-94」、Object Management Group(OMG)の「Production Rules Presentation」などを挙げる。また、W3Cでもルールフォーマットの標準に関する作業グループ「Rule Interchange Format」が立ち上がっているというから、業界にとっては朗報だ。