日立製作所は6月14日、トレーサビリティ・RFID(無線認識)事業を本格展開することを発表した。2011年3月期で単年度売上高(海外も含めて)800億円、国内シェア18%、2011年3月期までの累計売上高1800億円(海外も含む)を目指す。
今回の本格展開では、トレーサビリティ・RFIDシステムを導入するユーザー企業に対して、食品やアパレル、電子機器など業界別ソリューションメニューを100、固定資産管理や被服管理、入退場管理など業務別ソリューションを25、合計125のメニューを用意した。6月20日から提供する。
今回のソリューションメニューについて、トレーサビリティ・RFID事業部長の井村亮氏は「メニューを125という風に小分けにしたのは、導入する際の課題を小さくするため。125にすることで、導入期間を短縮、価格を安価にすることができた」と説明する。
同社は、新日本製鉄や伊藤忠丸紅鉄鋼での鋼材管理用ICタグの実証実験や日本ハムでのトレーサビリティASPサービス、「愛・地球博」でのμ(ミュー)チップ内蔵入場券など、これまでにトレーサビリティのシステム構築や運用管理などの実績を経験しており、今回発表されたメニューも、これまでのノウハウや経験を踏まえたものだ。また、同社はミューチップや汎用RFIDミドルウェア「HitRimp」を開発している。
「日立と他社との大きな違いは、部品からサービスまで一気通貫で提供できること。また、日立には実業におけるノウハウと先進的なITがあり、その両方をユーザーに提供できることも大きな強みとなっている」(井村氏)
日立製作所では、2006年4月にIDソリューション事業部とミューソリューション事業部を統合・再編して「トレーサビリティ・RFID事業部」として新設して、トレーサビリティ・RFID事業を本格展開させるための準備を進めていた。現在、トレーサビリティ・RFID事業部には約100人が在籍している。
日立製作所では、トレーサビリティに関する国内市場規模は2011年3月期の1年間で4000億円あると試算。そのうち同期で(海外も含めて)売上高800億円、国内シェア約18%を目指すとしている。同社は、同事業について2003年9月に「3年間で売上高200億円を目指す」と発表としている。この目標については「ほぼ達成できそうだ」(井村氏)としている。
今回の本格展開のために、同社では、日立INSソフトウェアや日立電子サービス、日立物流ソフトウェアなどグループ企業20社のトレーサビリティ・RFID事業に関するフォーラム「日立トレーサビリティ・RFIDフォーラム」を2006年6月末に発足させる予定だ。フォーラムでは、各社で進めるトレーサビリティ・RFID事業を連携させていくことが目的だ。井村氏は「フォーラムには、日立グループ以外の企業にも参加を呼びかけていく」と説明している。