日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は7月12日、企業システムのユーザーインターフェースとしてはもちろん、SOA(サービス指向アーキテクチャ)に基づいた社内外のプロセス統合をフロントエンドから実現するエンタープライズポータルソフトウェアの最新版「IBM WebSphere Portal V6.0(WP V6.0)」の出荷を、2006年8月24日より開始することを発表した。ダウンロード版は2006年7月26日より提供される。
この発表は同日、「SOAが変える、リッチクライアントが変える、Lotusが変える企業の未来」をテーマに都内で開催された「LotusDay 2006」の会場で行われたもの。LotusDay 2006は、7月12日、13日の東京開催から、7月28日の大阪開催まで、全国6都市で開催される。詳細は、日本IBMのウェブサイトで紹介されている。
WP V6.0は、「WebSphere」の名前が付いているものの、WebSphereブランドではなく、Lotusブランドの製品ポートフォリオに組み込まれている。日本IBMソフトウェア事業Lotus事業部長の澤田千尋氏は、「WebSphereブランドは、バックエンドシステム構築を支援するミドルウェア製品群という位置づけ。フロントエンド部分のユーザーの目に見える部分は、Lotusブランドとして提供するという方針になっている」と話す。
現在、Lotusブランドから提供されている製品は、メッセージング&コラボレーションソフトウェア製品である「IBM Lotus Notes/Domino」を中核に、エンタープライズポータル製品の「IBM WebSphere Portal」、コラボレーション環境を実現する「IBM Workplace」、モバイル環境からNotes/Dominoにアクセスできる「IBM WebSphere Evryplace」の大きく4つの分野で提供されている。
WP V6.0の特長は、「SOAに基づいてフロントエンドからプロセスを統合する機能の強化」「操作性の改善によるビジネスの生産性向上」「スケーラビリティの向上」の大きく3つ。SOAに基づいてフロントエンドからプロセスを統合する機能の強化では、業界標準のサポートやコンポジット・アプリケーションテンプレート化機能、オーケストレーション機能などが強化されている。
WP V6.0では、WebサービスやSOAPなどの業界標準やポータル画面上のアプリケーションを構成するポートレット標準である「JSR168」をサポート。IBMが買収したBowstreetが提供していたポートレット開発ツールを「IBM WebSphere Portlet Factory」として同梱している。同ツールを使用することで、Notes/DominoやSAP、RDBMSなどの必要な機能を、ソースコードを記述することなく容易にポートレット化して統合することができる。これにより、従来の開発に比べ、約12分の1の時間でポートレット開発が可能になるという。