#9 IT部門は応答が悪い
ユーザーからあがってきた問題のうち99%は連絡を受けてから1時間以内に解決しているにもかかわらず、ユーザーが覚えているのはそうでなかった1%の事象に過ぎない。わたしは、このことをユーザーに証明するためならいくらでも報告書を起こせる。この感覚の隔たりはいったいどこからくるのだろうか。これは、ある程度は人間の性質なのだろう。医者で、予約時間どおりに、あるいはそれより前に診てもらえたことが27回あっても、半日待たされたときの記憶のほうが強く残ってしまう。
この傾向はおそらく変えることはできないが、状況を改善するためにできることがいくつかある。まず、ユーザーとのコミュニケーションをきちんととること。問題を受理したとの返事をきちんと返し、修正までに要する時間をすぐに知らせることが大事だ。次に、解決した問題についてはユーザーに署名をもらうこと。最後に、ユーザーに追跡メールを送信し、問題解決後の状況についてフィードバックをもらうこと。ユーザーと常にコミュニケーションをとり、報告を欠かさないようにすれば、ユーザー側も自分の問題がきちんと対処されているという安心感を持つことができる。結果として、IT部門は応答が悪いなどと非難されることも少なくなるだろう。
#10 IT部門は傲慢だ
ユーザーに面と向かって、「こんなことをするとはまったくどうしようもないなあ」などと言う必要はない。そこまではっきり言わなくとも、目をぎょろつかせてあきれ顔をしたり、小さく舌打ちをしたり、それらしき表情をするだけでも、ユーザーをばかにしていることになる。メモ書きの言葉づかいにも気をつける必要がある。普通の言葉ではなく技術者間でしか通じない言い方をしたメモを送ると、ユーザーを疎んじていることになり、ユーザー側も自分が無知なのだと思わされる。そのようなメモでは、何も相手に伝わらないので意味がない。
これと同じことを何気なくやってしまうこともある。例えば、ユーザー自身に問題の修正方法を教えることなく自分でせっかちにさっさと片付けてしまうのがそうだ。こうした態度をとると「お前はバカだからこんな簡単なこともできないだろ。こんなのは20秒で直るんだよ」と言っているのと同じことになる。こうしたユーザーとの間に生じる誤解については、「ユーザーとのコミュニケーション:やってはいけない10の間違い」を参照してほしい。