インテルは8月21日、同社のエンタープライズ戦略について説明会を開催した。来日したIntel上席副社長 兼 デジタルエンタープライズ事業本部長のPat Gelsinger氏は、「2006年はプロセス技術が90nmから65nmへと移行した。また、インテルCoreマイクロアーキテクチャを採用した新製品をリリースし、新プラットフォームも発表した。通常このような大きな発表は1年に1つか2つほどだが、2006年は3つの分野で新たな発表をしている。インテルにとって2006年は飛躍の年だ」と述べた。
プロセス技術についてGelsinger氏は、「2006年春に65nmの投入量が90nmを超えた。今年中には生産の大半が65nmになるだろう」と述べた。これにより、「パフォーマンスが向上し、シングルコアのダイサイズでデュアルコアの生産が実現できる。また、量産化によるコスト削減も可能だ」とした。
インテルでは、7月末にデスクトップPC向けのCore 2 Duoプロセッサ「Conroe」(開発コード名)およびノートブックPC向けのCore 2 Duoプロセッサ「Merom」(開発コード名)を発表したばかり。これらのプロセッサと、6月末に発表されたサーバ用の「デュアルコア インテル Xeon プロセッサー 5100番台」(開発コード名「Woodcrest」)は、同社の新アーキテクチャ「インテルCoreマイクロアーキテクチャ」を採用している。Gelsinger氏は「新アーキテクチャ搭載のCore 2 Duo発表の際、多くのプレスやアナリストが機能性やエネルギー効率の高さなどにおいて、この製品を非常に高く評価した」とアピールし、「通常プレスはネガティブなとらえ方をしがちだが、この製品ではそれがなかった」として、新製品に対する自信を見せた。
同じく7月にインテルは、Itanium 2ファミリーのデュアルコア版「デュアルコア インテル Itanium 2プロセッサファミリー9000番台」(開発コード名「Montecito」)も発表した。Gelsinger氏はItaniumについて「メインフレームからの移行や、ハイパフォーマンスコンピューティングの分野で採用が進んでいる」とした。特に、日本での成長率の高さが顕著で、「IDCの調査では、日本のItanium搭載システムの売上金額が、対SPARCで111%、対Powerで109%伸びている」と述べ、日本ではすでにItaniumがハイエンドの選択肢となっているとした。
このように2006年になって次々と新製品を投入しているインテルだが、「2006年後半にはさらに新製品を発表する」とGelsinger氏。サーバ用製品ではXeonの7100番台や、ワークステーション用のCore 2 Duo、クライアント用では企業向けPCのプラットフォームとなるvProの詳細も発表予定だ。さらに、年内にはクアッドコア製品の発表も予定している。
「2006年を通じて、ハイエンド製品からモバイル製品まで、すべての分野において新製品を投入することになる。競合もいるが、今年はパフォーマンスでもエネルギー効率でもインテルがリーダーシップを取る」(Gelsinger氏)
同日インテルは、vProを中心とした製品群やソリューションを紹介する施設、「インテル・エンタープライズ・テクノロジー・ショーケース」を開設した。インテル 代表取締役共同社長の吉田和正氏は、「最新の技術は、単にその技術を搭載した製品をそろえただけで優位性が発揮できるわけではない。ソフトウェアやサービスなどの周辺環境が整わなければ技術の恩恵が十分受けられないのだ」と述べ、インテル・エンタープライズ・テクノロジー・ショーケースを通じて、vPro普及に向けたエコシステムを確立したいとした。