BEA Systemsは9月19日、カリフォルニア州サンフランシスコで開催されているユーザーカンファレンス「BEAWorld 2006 San Francisco」において、既存のTuxedoアプリケーションをSOA 360°プラットフォームに導くTuxedo用のアドオン製品「Services Architecture Leveraging Tuxedo(SALT)1.1」の提供を開始したことを発表した。
SALT 1.1は、大規模トランザクション処理システムで活用されているTuxedoアプリケーションをラッピングすることで、SOA対応のシステムと迅速かつ容易に統合するための新製品。既存のアプリケーションを全く変更することなく、SOA対応システム上で有効に活用することを可能にする。同製品は、すでにBEAのウェブサイトからダウンロードすることができる。
そこで、BEA Systemsのプロダクトマーケティング担当シニアディレクターであるMike Piech氏にSALT 1.1について話を聞いた。
--BEAWorld 2006で発表されたSALT 1.1とはどのような製品なのですか。
SALT 1.1は、C/C++、COBOLなどで構築されたレガシーアプリケーションをラッピングすることで、SOA(サービス指向アーキテクチャ)に対応したシステム上で使用できるサービスに変えることができる新しい製品です。このとき、アプリケーションは全く書き直すことなく、SOA対応できることが最大のポイントです。
--SALT 1.1を導入することで、Tuxedoユーザーはどのような効果を期待できるのでしょう。
Tuxedoのユーザーは、非常に古くから、何年もかけてTuxedoアプリケーション構築し、使用しているユーザーが非常に多くいます。ここで利用されているアプリケーションは、たとえば金融機関の送金システムやATMシステム、テレコム系のシステムなど、ミッションクリティカルなものが多く、システムがダウンしてしまうと大きな損害を伴います。
そのためユーザーは、新しいシステムと統合する場合でも、コードを書き直すことには躊躇してしまいます。ミッションクリティカルなシステムでは、コードを書き直すことで、どこに影響するかを見極めることが困難だからです。SALT 1.1で提供しているラッパーの仕組みを利用することで、コードを書き直すことなく、迅速かつ安全、確実に新しいシステムと統合することが可能になります。
--SALT 1.1は、今回発表されたSOA 360°プラットフォームの中では、どのような位置づけにある製品なのでしょう。
SOA 360°プラットフォームというコンセプトには、さまざまな視点があります。360度という言葉が示すとおり、SOAのすべてが、どの角度からでも見ることができます。SOAの世界では、使用されているすべてのサービスの目的が常に見渡せることが重要です。
SOA 360°プラットフォームには、まずmicroService Architecture(mSA)がありますが、mSAはビジネスを変革させるだけでなく、BEA製品そのものがmSA上にSOA対応のコンポーネントとして配備されることになります。
一方、SOAに対応したツールの世界では、開発者向けの開発ツールだけにフォーカスされてきた感があります。しかし、アナリストやビジネスの担当者、オペレーターなどすべての担当者がインテグレーションに参加できるSOAコラボレーションツール環境を提供するのがWorkspace360°です。
このとき、新しいアプリケーションだけでなく、既存のアプリケーションであってもサービスとしてSOA対応のシステムに参加できなければ意味はありません。そこで、既存のアプリケーションやレガシーアプリケーションをSOA 360°プラットフォームに導くための製品がSALT 1.1なのです。
また、Workspace360°からもTuxedoを管理することが可能になります。Tuxedoアプリケーションの関係者は、Workspace360°を通じてTuxedoアプリケーションをコンポーネント化し、組み立て、管理することが可能になります。さらに、TuxedoそのものもmSA上に組み込まれて使用できるようになるのです。
--それは、mSA上でTuxedoをSOA対応コンポーネントとして利用できるということですか。
その通りです。TuxedoやWebLogic、AquaLogicというBEA製品はもちろん、SOAに対応した他社製のコンポーネントも互いに通信することを可能にするのがmSAなのです。
--SALT 1.1以外にもTuxedoで機能が強化される計画はありますか。
最初にもお話ししたとおり、Tuxedoはすでに非常に実績のある、信頼性の高い製品です。そのため今後6カ月間くらいの間に何か大きな機能拡張が発表されるという予定はありません。しかし、常にパフォーマンスや信頼性の向上、ユーザーからの要望への対応などの改良は継続して行っていきます。