--企業側では、SaaSモデルの受け入れに抵抗はあるのでしょうか?
抵抗は少なくなってきています。5年前、企業に自社設定型とSaaS型の2つの実装選択肢を提供すると、50%は自社で設定する方を選んでいました。現在、90%以上の企業がSaaSを選んでいます。
しかしRightNowの差別化はSaaSではありません。顧客がRightNowを選ぶ理由は、顧客ロイヤルティの改善、運営コストの削減など、自社のビジネス上の課題を解決するためです。つまり、われわれはSaaSではなく、ビジネスソリューションを提供していると自負しています。
たとえば、ニコンは顧客サービスチャネルとしてウェブ、電子メール、電話でのコールセンターのチャネルを持ちますが、当初ウェブでRightNowを導入、効果をみながら拡大していきました。規模が増えるほど、顧客情報やナレッジの共有が進み、効果が増します。自分たちのスケジュールに合わせて徐々に置き換えを進め、いまでは、同社の顧客サービス全体がRightNowを利用しています。
--RightNowのライバルはどこですか?
OracleとSAPです。
同業のSalesforce.comとは、企業規模と分野でターゲットが異なります。Salesforce.comはSMBを中心に展開しており、われわれは大企業を狙っています。また、Salesforce.comは営業支援のSFAに強いのに対し、われわれはCRMを得意としています。
--OracleやSAPもSaaSを提供していますね。
Oracle、SAPともに、真のSaaSとは言い切れません。既存のシングルテナント向けのソフトウェアをホスティングしているに過ぎず、土台が違います。既存の業務ソフトウェアベンダーは、SaaSを完全に理解していませんし、動きが遅いようです。ソフトウェアを最初からマルチテナント向けに書きなおすことは難しいでしょうし、パートナー各社と築いた収益モデルを変換するのは簡単ではないでしょう。これらは、既存ベンダーの大きな障害となっています。
--SaaSは現在、業務アプリケーションの一部でトレンドとなっていますが、今後業務アプリケーション全体にトレンドが波及するのでしょうか?
現在、CRMとSFAでよく利用されており、人事アプリケーションのSaaSもあります。ERPはまだ少なく、今後どのようになるか注視していきたいところです。ERPは、われわれが狙う大規模システムの場合、ほとんどが導入済みです。市場はすでに開拓されているといえ、われわれはここを狙う予定は当面ありません。
--ソフトウェア業界全体の今後をどのように予想されますか?
既存のモデルを破壊するようなイノベーションが起こり、市場の淘汰、統合が起こり、それが成熟していきます。
CRMにおけるSaaSは現在、5億ドル市場といわれていますが、まだ全CRM市場の10%を占めるに過ぎません。成熟はまだ先です。CRM全体は550億ドル市場で、SaaSが進出する余地がたくさんあると思っています。
--日本市場における戦略を教えてください。
5年前に進出し、2年前にオフィスを構えました。現在、4社のディストリビュータと提携しています。すでに80社の顧客を持っており重要な市場だと思っています。
