内部統制強化、その背景とメリットとは

柏崎吉一 2006年11月01日 19時47分

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 上場企業に対する「内部統制」の整備・強化を義務付ける法律が制定された。しかし、そもそも内部統制の目的は何なのか。字面から物々しい雰囲気さえ漂ってくるが、誰が何に対して統制をかけ、どんなメリットが生まれるのだろうか。

 まず、内部統制の整備・強化を最も歓迎しているのは、企業の株式や債券などを売買している投資家や債権者である。彼らが有価証券を売買する際に判断材料とするものに有価証券報告書がある。これには、発行済み株式や新株予約権といった、上場の可否にも関わる株式関連の各種情報、会社の収支や資産・負債の状況などを示した財務諸表が公開されているが、内部統制の整備・強化により、企業側がそこに事実と異なることを書いたり、架空の数字をでっち上げたりすることが極めて難しくなった。

 こうした観点から、その会社とビジネスをする取引先やグループ会社、商品・サービスを利用する消費者にとっても、内部統制の強化は歓迎すべき取り組みだといえる。

 内部統制の強化は、西武鉄道の株主の状況に関する虚偽記載や、カネボウ、ライブドアの粉飾決算など、日本で2004年以降相次いで起きた財務情報の信頼性を損なう事件が背景にある。このような事件が増えれば、投資家らは何を信じて行動をすればよいのかと疑心暗鬼を深め、ひいては株式市場全体に対する不信感が広がって経済活動に支障を来たす。ウソの財務情報に惑わされて投資家が不利益を被ることがないよう保護するとともに、株式市場や経済そのものの健全な発展のために、企業に対する内部統制の整備・強化が要請されているのだ。

「不正のリスクをゼロにしろ」ということではない

 内部統制について言及した法律が、2006年6月に制定された「金融商品取引法」である。「内部統制法」といった名前の法律は存在しない。内部統制は「金融商品取引法」の中にある情報開示(ディスクロージャー)についての規制項目のひとつとして盛り込まれたものだ。

 上場企業に課されたのは、内部統制に関する取り組みを評価した「内部統制報告書」の提出である。なぜ、わざわざ内部統制報告書を作る必要があるのかというと、有価証券報告書などに記載されている財務情報に不正やウソがないようにするべく、社内のチェック体制を整え、日々きちんと活動していることを公言するためである。

 この報告書は、決算の際に有価証券報告書に添付することになっている。この報告書を通じて企業は、「有価証券報告書の内容の正しさを裏付けるために、わが社ではこうしたことを行い、その進捗度はこの程度で、いつまでにこのような目標を立てて実行する」といったことを投資家に伝えるのである。

 ここで大事なのは、社外に対して正直に現状を打ち明け、安心感を持ってもらうことである。投資家も、企業の中で経営者を含む社員がウソやごまかしを一瞬たりともできない、リスクゼロの状態を実現できるとは思っていないだろう。社内を評価した結果、ウソやごまかしの発生するリスクが高いとなった場合、それを隠ぺいするのではなく、まずはその事実を認め、それに対する対策を講じる予定だと建設的に表明(文書化)することが求められる。また、不祥事が起きた場合、どこにその原因があったのかを突き止め、説明責任を果たせることが重要である。

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