マイクロソフトは11月30日、11月初旬に相次いで開発完了がアナウンスされたWindows Vista、2007 Microsoft Office System(2007 Office System)、およびExchange Server 2007の企業向けライセンス提供を開始したことを発表した。同社が「10年来の大変化」とうたってきた新たなWindowsとOfficeが、いよいよユーザー向けにリリースされたことになる。
同日、マイクロソフトは東京・有楽町の国際フォーラムで「New Day for Business」と銘打った製品発表会を開催した。パートナーや早期採用企業をゲストに招き、Vistaと2007 Office Systemを基盤とするソリューション提供の本格的なスタートを宣言した。なお、11月30日には、世界8カ国(オーストラリア、日本、中国、ドイツ、フランス、米国、カナダ)で同様のアナウンスが行われている。
マイクロソフト日本法人、代表執行役社長のDarren Huston氏は、発表会の冒頭、11年前に発売されたWindows 95の登場前後で、世界の労働生産性の向上速度が大幅に変化したという調査結果に言及。「マイクロソフトでは、ソフトウェアによってビジネス上のさまざまなトレンドに対応できると考えている」と述べ、自らVistaと2007 Office Systemの各アプリケーションを用いたデモを行い、新製品の特徴である起動時間の短さや、よりユーザビリティの向上したインターフェースといったメリットを強調した。
発表会には、マイクロソフトの代表的なビジネスパートナー5社(富士ゼロックス、大塚商会、NEC、リコー、日本ユニシス)の代表者がゲストとして登壇し、Vistaおよび新Officeの発売に対して祝辞を述べるとともに、新製品への支持を表明した。
パートナーの1社であり、Windows Vistaのセキュリティ機能設定サービスを提供する大塚商会、取締役上席常務執行役員の片倉一幸氏は、Windows Vistaについて「ユーザビリティの向上や使いやすさに加えて、一番のポイントはセキュリティ機能の強化にある」と述べ、企業に合わせたポリシー構築の容易さなどの点で、企業ユーザーにとってもVistaの導入メリットは大きいとした。
また、リコー、販売事業本部ソリューションマーケティングセンター副所長の佐藤芳郎氏は、「2007 Office SystemのGrooveに注目している。現在、企業では、グループウェアを中心とした共同作業を行っているが、社外とのコラボレーションにはかなりの手間がかかっている。Grooveでは、強固なセキュリティを維持した上で、そうした問題を解決できる。リコーでは、2007 Office Systemを中心としたソリューションの全国展開を行っていく」と新Officeへの支持を表明した。
Vista、2007 Office System、およびExchange Server 2007については、早期製品評価を通じ、11月29日の時点で57の法人と企業が、いずか、もしくは組み合わせでの新製品採用を表明しているという。発表会にはそうした企業の1社である三洋電機のITシステム本部本部長の小澤稔弘氏が招かれ、ユーザーの利便性向上に加え、コンプライアンスやセキュリティに配慮した社内システムの構築が可能になる点などを、新製品導入表明の理由として挙げた。
発表会の最後には、再びDarren Huston氏が登壇。日本企業においてはIT化が進んでいるものの、ワークスタイルの革新については課題が多いと指摘した上で「J-SOX、個人情報保護法に対応するだけでなく、積極的な攻めの姿勢で新たなデジタルワークスタイルの導入を進めていくべきだ」と述べ、マイクロソフトの新製品をベースに提供される新たなソリューションの導入を促した。