サンノゼにおいて開催中の「Embedded System Conference」(組み込みシステムカンファレンス)にて、4月3日の基調講演を行ったのは、エンジニアでもサイエンティストでもなかった。しかし、私自身ずうっと楽しみにしていたものだった。なぜなら、この講演者は、シリコンバレーのインターネット、ナノテク、エネルギー関連技術ブームの火付け役であり、もう10数年以上も関心を持ち続けていたのであるが、はじめて生の声を聞ける機会だったためである。
登場したのは、映画「不都合な真実」(An Inconvenient Truth)で環境問題スペシャリストとして脚光を集めているAl Gore アル・ゴア前米国副大統領であった。
ゴアの唱える「不都合な真実」
「不都合な真実」とは、地球温暖化現象への対応を訴え、世界中を講演するため旅するゴア前米国副大統領が主役のドキュメンタリー映画で、今年のアカデミー賞まで受賞してしまったものである。地球温暖化現象が進んでいるが、それは人間の仕業であるとして、さまざまなデータをビジュアルに提供した衝撃作である。政治的な立場や、科学的根拠が正しいかどうかはともかく、地球環境のために自分も何かしなくてはいけない、と思わせるだけの非常にインパクトのあるものだった。