こうした現状認識のもと、みずほ情報総研では、マイネット・ジャパンが提供する「イントラ・newsing」の試行を2006年後半から開始した。「イントラ・newsing」とは、インターネット上で提供しているソーシャルブックマークサービス「newsing」をベースとし、社内利用向けに機能拡張したサービスだ。

ブックマークした情報に対するディスカッション
まず、今回の試行にあたって社内で重視したのは、ブックマークだけでなく、社員が「そのブックマークされた情報についてそれぞれどう考え、評価したのか」までを共有することである。このため、ブックマークした情報に他の社員が「賛成」や「反対」といった意思を表明するだけでなく、コメントも追記できるようになっている。こうしたブックマーク情報を起点として社員同士のディスカッションがサイト上で行われることも多い。
ブックマークのクリップ機能
また、公開されているブックマーク情報のうち、「これは役に立つ!」と感じた情報は、クリップして個人ページに保存しておくことが可能だ。ブックマークに対するブックマーク、というイメージだが、こうしたディスカッションやクリップといったひとつの情報をもとに次々に他の社員がリンクしていくことで、社内での情報共有の活性化が期待される。

ふたつの意味を持つタグ
タグには、ブックマークの発信者が他の社員に対し、情報の存在に気づいてもらうよう誘導するという役割と、閲覧した社員がブックマークされた記事や発信者のコメントに対する評価を行う役割がある。
本来タグは、ブックマークする側がカテゴリ分けをするために使うものだが、他人のブックマーク情報を利用する側も、自分の欲しい情報を効果的に探し出す手段として活用できる。社内利用においては、社員で収集した情報を効率的に共有する仕組みづくりを重視しているため、どういったテーマを社員に見てほしいのか、対象を絞るためのキーワードとしてタグを位置づけているためだ。
一方、記事を読んだ社員が記事に対してどう評価したかを共有することも同時に必要だ。このためには、ブックマークした情報や情報に対するコメントの内容が、社内における情報共有と体系化を行う上で重要な要因となる。このため、当社では記事に対するコメントにタグ付けすることで、社員の情報リソースに対する評価ができるようになっている。
社内での試行開始にあたっては、「組織」「業務プロセス」「ナレッジ」「Web 2.0」など、社内で一定以上認知されているキーワードをあらかじめタグに設定した。もちろん、インターネットのサービスのように自由にタグ名を設定することもできるが、社内では業務の一環としてソーシャルブックマークを利用するため、キーワードのぶれはあまり発生しない。こうしたキーワードはあらかじめ設定しておいたほうが、タグ付けを行う際の判断に迷わないと考えたためだ。