日本ヒューレット・パッカード(HP)は6月4日、同社のブレードシステム「HP BladeSystem c-Class」において、Ultriumテープドライブ搭載ブレード「HP StorageWorks Ultrium 448c テープブレード」を発表した。これはc-Classのエンクロージャ(筐体)に搭載可能なテープドライブ機能を持ったブレード型デバイス。HPでは、テープブレード製品を提供するのは「業界初だ」(同社 エンタープライズストレージ・サーバ統括本部 インダストリースタンダードサーバ製品本部 プロダクトマーケティング部 プロダクトマネージャ 山中伸吾氏)としている。
HPでは、2006年6月のc-Class発表以来、「Blade Everything」をコンセプトに、さまざまな製品をブレードに搭載する方針を進めてきた。山中氏は、「サーバブレードの製品拡充は、c-Classのフェーズ1だった。フェーズ2では、ブレードサーバから本格的なブレードシステムへの移行を進めている。I/O仮想化機能の『HPバーチャルコネクト』や、ストレージブレード、ワークステーションブレード、スイッチオプションなどを用意することで、ブレードで小さなデータセンターが提供できるようになりつつある」と話す。
今回発表したテープブレードもBlade Everythingの一環だ。これまで、ブレードシステムでデータをバックアップするには、ネットワーク経由で別のシステムからバックアップするか、SANに接続されたライブラリなどを使う必要があったが、新製品のテープブレードを使用すれば容易にバックアップができる。また、テープブレードが直接接続されていないサーバブレードやストレージブレードのデータも、エンクロージャのバックプレーンを介したネットワーク接続により、1つのエンクロージャ内でバックアップできる。
山中氏は、ストレージの新たなカテゴリとして「BAS」(Blade Attached Storage)という言葉を提唱した。「BASは、エンクロージャに内蔵可能なストレージソリューションのこと。SAN、NAS、DASに続く新たなストレージカテゴリだ」(山中氏)
BAS、そしてc-Classがターゲットとするのは、中小規模案件だと山中氏は説明する。ブレードというと大規模システムと思いがちだが、「c-Classは中小規模に最適な要素が数多く含まれている」と山中氏。その理由として同氏は、「サーバやストレージ、ネットワークなどの管理は、大企業であればそれぞれの担当者を個別に置くことができるが、中小規模の企業だとこれらを一括で管理したいという要望が強い。また、中小規模システムを提案するSIerにとっても、サーバからストレージ、ネットワークまでをまとめて提案する際、c-Classのようにまとまっていると接続性検証などの手間が省け、システム構築が効率化できる」としている。
HPでは、4月23日よりブレードエンクロージャを315円(税込み)で提供するキャンペーンを開始している。ブレード本体を3枚買うと、本体およびブレード関連オプションが30%引きとなる上、定価63万円(税込み)のエンクロージャを315円で提供するというもので、初期導入コストの障壁が高いとされるブレードシステムの普及を促すためのものだ。このキャンペーンでブレードの導入に踏み切ったユーザーの約7割はブレードの購入台数が3台から8台で、約8割がエンクロージャを1台のみ購入していることから、「中小規模システムへのブレードの採用が加速している」と山中氏は言う。
今回発表したテープブレードの価格は39万9000円(税込み)で、6月下旬より出荷を開始する。もちろん同製品もキャンペーンの対象商品となっている。
今後もHPではBlade Everythingを推進し、「システムのありとあらゆる製品をブレード化する」と山中氏。特に今年は、ストレージ系ソリューションを充実させる予定だとしている。