(前回よりつづく)
私は、彼女の口から出る言葉をずっと待っていた。
「Second Lifeに参入した企業がその効果を測るには、別の指標が必要なの。今までのウェブではアクセス数やPV数、そして実際にサイトで商品が売れた場合のコンバージョン率というものが指標になっていたわ。でも、そのウェブの考え方をそのままSecond Lifeへ持ってくると、企業は少しとまどってしまうでしょうね」
「確かに、成功している企業でさえ、常時5人くらいしかいないんじゃ……」
「ただね、それもやり方次第なの。大切なのは、『どういうアバターに来てほしいか』ということ。この点においては、ウェブと考え方が一緒ね。でも、Second Lifeでは、アバター同士がお互いに見えてしまうという違いがあるわ。そしてそれは、そのアバターと企業の担当者がコミュニケーションをリアルタイムにとれるということなの。そういう意味では、ウェブではできなかったことができるのね」
そうか、ウェブとは違う3次元の世界特有のメリットもやはりあるようだ。そうだとしたら、新しい考え方というのは、どういう考え方なのだろう?彼女はゆっくりと話し始めた。
「Second Lifeではまず、企業から『お客さんの姿が見える』の。リアルと同じようにね。そしてリアルと同じようにコミュニケーションがとれるの。これがまず一点」
「次にね、このアバターというのはともすれば、とても危険な存在になりうるの。ウェブでも掲示板で叩かれる企業があるけど、3次元の世界で叩かれる、つまり攻撃をされるのは、ちょっとやっかいなのよ。この世界はお互いが見えるから、すぐにコミュニティーが形成されるの。つまり、Second Lifeの中では、噂がすぐに広まってしまうわ。良いのも悪いのもね。そして企業への攻撃がテロとなる場合もあるの」
それは大変だ。そうか、ウェブの世界では、テロや自発的なコミュニティーの形成ということはなかったけど、Second Lifeではそういう現象が起こる可能性があるのか。これは気をつけないと……。
「まだあるわ。それにね……」。彼女の顔からは、さきほどのまでの悪戯っぽい笑みは消え、真剣なまなざしで話していた。
前回の復習
前回は、シーネットネットワークスジャパンのSecond Lifeオフィス(Cyber Adventure 118, 30, 31)にあるカフェの装飾として、カウンターに置かれるボトル、そして家具を制作した。ボトルの作成では、これまで未解説のプリムである「チューブ」タイプを使用してみた。さらにドアで使われているスクリプトの内容を簡単に紹介した。それでは、このスクリプトの詳細を見るところから始めよう。