目指すはIT産業のインフルエンサー
従来のサポートサービスは、たとえばRed Hatのこのバージョンというように、そのサポートの対象範囲が決まっている。しかしOSSよろず相談は、対象が Linux OSと約40種類のOSSというように幅広い。
「この40種類というOSSの数は、現在市場でよく使われているOSSの8割程度をカバーできる数です。つまり、この相談室に契約していただければ、OSSでシステム構築したいという場合は、だいたい大丈夫ですということです。OSSのサポートでは、まず入り口としてこのようなサービスが必要だろうと考えています」
同社がこの相談室を可能にしているのは、これまでのOSSでのサポートサービスで培ったエンジニアの知識、経験、ノウハウがきちんとコンテンツ化されているからだ。
「ナレッジベースが確立しているから、これが可能になりました。OSSがエンタープライズに適用できない一番大きな要因は、サポートだといわれています。ですから、特にミッションクリティカルの分野では、このサービスは非常に重要だと考えています。また、われわれのOSSのビジネスも、これを入り口としてどんどん広げられるだろうと考えています」
続けて、喜多社長は現在のOSS市場の問題点をこう指摘した。
「お客様の意識は変わってきています。お客様には、スタックだけではなかなか使えないという事情があるのです。従って、ベンダー側はスタックだけの提供ではお客様の期待に十分にこたえられません。私は、スタックは供給者側の論理だと思っています。OSSの市場を拡大するには、こうしたよろずサービスのようなものが必要だと確信しています」
インタビューの最後に、サイオスの将来像を聞いたところ「世界のIT産業のインフルエンサー(Influencer:影響力のある企業、勢力)になりたい」という答えが返ってきた。そのひとつの姿が、従来のようなライセンスビジネスではなく、サポートサービスのビジネスモデルだという。
「サポートサービスをワールドワイドで展開したいと考えています。それも、ソフトウェアに立脚したビジネスです。そのためには企業規模も大きくする必要があります。現在の売上規模は約51億円ですが、100億、1000億と大きく成長していきたいと思っています」
OSSを基盤とした、新しいタイプのIT企業が生まれる可能性がある。