大和証券グループ本社と大和証券は、NECと共同で仮想PC型シンクライアントシステム「VirtualPCCenter」の構築を開始した。7月6日に明らかにしている。
両社は、セキュリティと事業継続(Business Continuity:BC)基盤強化を目的に、大和証券グループ本社がシンクライアント端末300台を、大和証券が同1200台を、合計1500台を導入する予定だ。大和証券では、国内117支店を含めた全社1万台規模の導入を計画している。
導入されるシンクライアントシステムは、サーバ上にエンドユーザーごとに、データやソフトウェアなどが異なるPC環境を仮想化・集約化して稼働させ、CPUなどサーバの資源をエンドユーザーの負荷に応じて割り振るという形態になる。金融業界のシンクライアントシステムとしては、国内最大規模になるという。
新システムは、両社合計でシンクライアント端末「US100」1500台、仮想PCサーバとして、大和証券グループ本社でクアッドコアCPU搭載のIAサーバ「Express5800/120Ri-2」、大和証券でブレードシステム「SIGMABLADE」、そして統合管理サーバ、統合管理ソフトウェア「WebSAM SigmaSystemCenter」、VMwareの仮想化基盤ソフトウェアを中核にしたものになる。
大和証券グループは本社移転を予定しており、VirtualPCCenterの導入で、(1」各社員のPC環境をサーバで集中管理できることから、セキュリティ強化に加え、オフィス移転や異動時における各端末の環境設定やデータ移行が不要になるなど、端末運用の負荷を軽減させる、(2)各社員のPC環境が稼動するサーバを免震性・セキュリティの高い施設内で運用管理することでBC基盤の大幅な強化を実現する――としている。
大和証券では、仮想PCサーバとしてSIGMABLADEを用いることで、サーバ1台あたりで管理できるシンクライアント端末数が増大、今回は1サーバで30台以上のUS100を管理する。
例えば「ブレードPC方式」でのシンクライアントシステムに比べ、データセンターに設置するマシン台数を30分の1以下に集約できる。さらに、仮想PCサーバはSANブートモデルを用いることで、サーバの設置スペースの約50%低減を見込む。また、本社移転時でも、各端末の環境設定やデータ移行が不要となるため、移転に伴う作業工数も大幅に削減できるとしている。
ビジネスPCからシンクライアント端末への移行に伴い、各社員や部門のデータを格納するファイルサーバなど各種サーバ20台を、NAS製品にして利用して2台に統合。部門ごとに構築していた認証ディレクトリを1つに統合することで、人事異動などに伴う設定変更の手間が不要になるなど、運用管理の簡易化を実現している。