独立行政法人理化学研究所(理研)は9月14日、10ペタフロップス級の処理性能を持つ次世代スーパーコンピュータのシステム構成を決定したことを発表した。開発するのは、理研のほかに富士通、日立製作所、NECの3社が共同を行う。今後、このシステム構成をもとに、詳細設計が進められる。
システム構成が決定した次世代スパコンは、スカラー部とベクトル部からなる、複合汎用スパコンとなる。スカラー部とベクトル部という異なる演算部を使い分けることで、アプリケーションの実行に適した計算環境が提供されるとしている。
また次世代スパコンでは、半導体プロセスに45nmを採用するとともに、電気信号ではなく光で信号を伝送する技術「光インターコネクト」を採用している。光インターコネクトは、1信号あたり20Gbpsの速度とされている。
理研では、これらのシステム構成から、スパコンのランキングで利用されるベンチマーク「LINPACK」で10ペタフロップスを達成できるとしている。加えて、アプリケーションの実行でも世界最高性能に到達できると説明している。
このスパコンは、文部科学省が推進する「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」プロジェクトの一環として、理研が中心となって開発を進めている。
2006年9月に理研が概念設計を開始、2007年4月にシステム構成案を取りまとめている。その後、理研のシステム構成案について、文部科学省で評価報告書が6月にとりまとめられ、また、これを受けて実施された総合科学技術会議による評価が終了したことから、理研としてシステム構成を決定している。