かつて、Linuxを中心としたオープンソースソフトウェア(OSS)といえば、ウェブやメールなどのエッジ系サーバの基盤として利用されるのが専らだった。しかし、その有用性が証明されるにつれ、その適用範囲はエッジ系はもちろんのこと、企業内の情報系システム、あるいは基幹系システムにまで拡大するようになっている。
OSS/Linuxの適用範囲が拡大するようになれば、それをビジネスのネタにするベンダーの動きも変わらざるを得ない。ベンダーとして、いつまでも「OSS/Linuxはエッジ系でしか利用できません」と言っていたら、せっかくの利益を逃してしまうことになってしまう。そこで、適用できる範囲が拡大する動きにあわせて受動的に対応するだけでなく、自ら能動的に適用範囲を拡大させようとするベンダーも出てきている。NECもそうした1社と言えるだろう。
開発・サポート・システム構築のノウハウ+OSS/Linux
NECは2007年4月に、NECグループ全体のOSS/Linux活動を統括するために「OSSプラットフォーム開発本部」を立ち上げている。同本部の狙いについて、本部長の大宮虎徹氏はこう語る。
「企業向け市場はもちろん、組み込み系分野や通信企業向け、高性能コンピューティング(High Performance Computing:HPC)市場などの領域でもOSSを対応させることを狙っています。OSSプラットフォーム開発本部では、OSS/Linuxの技術を中心にしていますが、NECがこれまでに培ってきたメインフレーム、スーパーコンピュータ、UNIXサーバの開発経験・方法論に基づいた開発・サポート・システム構築のノウハウもあります。さらに、OSSプラットフォーム開発本部では、OSS/LinuxベンダーやOSSコミュニティー、業界団体との窓口という役目も果たしています」
OSSプラットフォーム開発本部には、190人以上のOSS/Linux関連の技術者が在籍しているが、NECグループ全体では7800人ものLinux技術がいる。ちなみに、NECグループは2006年12月末までにLinuxサーバの出荷台数が累計で6万9000台、導入サイト数は2200を超えているという。
そうしたNECグループ内で、OSSプラットフォーム開発本部が統括するOSS/Linuxビジネスは市場を(1)情報系システム/Web 2.0システム、(2)エンタープライズ基幹系システム、(3)社会インフラを中心にした基幹系システム――という3つのセグメントに分けて展開している。
SpikeSourceソリューション
(1)の情報系システム/Web 2.0システムは、NECが出資する米SpikeSourceが動作検証を行って基盤スタックとしてまとめた「SpikeSourceコアスタック」を活用したものであり、OSSを簡単にローコストで導入・運用できることから、裾野の広いソリューションとなっている。