オープンソースソフトウェアの普及をめざすユーザー向けのカンファレンス「Enterprise OSS 2006」が9月8日、青山ダイヤモンドホール東京都港区)で開催された。同カンファレンスでは、「エンタープライズ領域へのOSSデータベースの適用」と題してNEC 第一コンピュータソフトウェア事業部 エキスパートである西條賢氏が、OSSへの取組みを解説した。
西條氏のセッションは、OSSデータベースとして世界で最も広く利用されているMySQLと、日本で普及の目覚ましいPostgreSQLに関する基本事項の概説から始まった。MySQLが開発し、知的財産権を保有するMySQLの第一の特長として、業務用途に応じて4種類のストレージエンジンをテーブルごとに選択できることが挙げられる。
たとえば、一般的に多く利用されている「MyISAM(マイアイサム)」は、トランザクション機能を持たない代わりに軽く、高いレスポンスが可能で、更新よりも検索が中心となるウェブシステムなどの用途に適している。
一方、更新が頻繁に行われるトランザクション処理が必要な場合は「InnoDB」をエンジンにすることができる。「MEMORY」ストレージエンジンは、MyISAMと同等のテーブルをメモリ内に生成する。小規模データをテンポラリに扱うときには便利だ。さらに「NDBクラスタ」では、複数システムのメモリ上に全てのデータを収納することで、クラスタ環境を構成することができる。
MySQLのもうひとつの特長は、「クエリキャッシュ」である。検索結果をメモリ上にキャッシュとして保持し、同一の検索があった場合、そのキャッシュを返すというもので、検索を大幅に高速化できる。
MySQLのライセンス方式は無料のGNU GPL(General Public License)と商用ライセンスの2つを利用できる。
現在、MySQLのバージョンは5.0で、まもなく5.1が正式にリリースされる予定だ。5.0ではストアドプロシージャ、トリガー、2フェーズコミットがサポートされ、5.1からはディスクレベルのクラスタリングが可能になる。