端境期を迎えつつあるLinux/OSS
Linuxを中心としたオープンソースソフトウェア(OSS)の中心といえば、もちろんコミュニティーであり、その活動は1990年代に始まり、現在でも続いている。しかし、その動きも2000年を境に変わってきているのではないかと、米Novellの日本法人であるノベルでLinux担当マネージャーを務める岡本剛和氏(営業本部テクノロジースペシャリストグループ)は指摘している。
「かつてはOSSのコミュニティーの輪が広がるとともに、数もたくさんありました。1990年代後半にはLinuxディストリビューションの種類もいろいろでしたし、OSSをどのように使えばいいのかがまとめられたHow toに関するドキュメントもかなり蓄積されたと思います。しかし、2000年を境に、コミュニティーが専門化していくとともに、How toのドキュメントは少なくなってきているように感じます」
1990年代後半には、どうすればLinuxを活用できるかなどがまとまったLinuxに関連した書籍も数多く出版されていたし、コミュニティーを中心としたイベントも多く開催されていた。だが、この数年で、関連書籍やイベントも次第に減少している、そう感じる読者もいるのではないだろうか。
その背景には、「LinuxやそのほかのOSSが企業内のシステムでもちゃんと使えると認識されるにしたがい、LinuxやOSSがビジネスラインにのるようになってきたことが影響していると思います。その動きと連動するかのようにLinuxディストリビューションの数も少数に収束されていったように感じられる」(岡本氏)ということがあるようだ。
Linux/OSSが国を問わず企業で(まだウェブやメールなどのエッジ系が中心だが)使われるようになってくると、IBMやOracle、Novellなどの大手IT企業も、Linux/OSSに対する態度を変えてくる。それまでLinux/OSSの開発はコミュニティーの中の個人に依存していたのだが、大手IT企業の変化により、そうしたLinux/OSSの有力な開発者たちは業務として開発を続けられるようになってきた。つまりは、個人のボランティアに支えられていたLinux/OSSの開発は今や「大手IT企業がスポンサーとなって続けられている」(同氏)のである。