現在、技術部会で進んでいるのはマスタ連携とトランザクション連携。マスタ連携については社員マスタなど比較的容易に進むところから手をつけ、順次その範囲を拡大しようというところ。トランザクション連携については仕訳が完了、今後製造指図などへと広げていく段階だ。
社長の梶山氏は「アメリカならM&Aでけりがついてしまうのだと思いますが」といいながら、当然連携については歓迎している。
「製品連携というのは、まさにベスト・オブ・ブリードだと思っています。私は生産管理をやるには、ERPという全体を考えるより、工場を向いて作った方がいいものができると考えているのです。そして、そのようにして作ったものが、他社の実績のある会計や販売といったパッケージと連携するというということですから、アメリカのM&A方式よりいいものができるのではないかと思っています。さらに、ベスト・オブ・ブリードであれば、お客さんも会計はこっちがいいというように選択肢が広がりますし…」
MIJSのもうひとつのテーマは海外である。同社もこれまで、タイ、マレーシア、中国に進出した経験がある。このうち、電機の組み立てが中心だったマレーシアは、工場そのものが安い労働力が手に入る中国に相次いで移転したため撤退。現在は、自動車の組み立て中心のタイと電機の組み立て中心の中国・上海の2拠点。いずれも現状は、海外進出した日本企業にとどまっている。
「たとえば中国では、中国企業を相手にビジネスをしてもお金がきちんと回収できるかというような問題もあり、海外企業に直接パッケージを導入するまでには至っていません」というものの「海外のソフトベンダーに勝てるとしたら生産管理」という信念は崩れない。
「私は、トヨタや日産がアメリカに上陸したときはアメリカに駐在していたのですが、まあ惨憺たるものでした。あまりスピードが出ないので高速で追突されたとか、エンジンから火を噴いたとか言われていました。それから30年で、ようやく世界のトップにまで来たわけです。ですから、われわれもそのくらいの時間がかかると思ってやらなければいけないと思います」
MIJSが掲げたオーバーシーズというテーマは、まさに緒についたばかりなのである。