コモディティ化が進んだことで、サーバやクライアントPCは必要に応じていつでも導入できるようになっている。そうしたIT化の拡大は、システム管理者にとってみれば、悩みの種だ。管理すべき対象が増えるからである。そして、その悩みは、IPアドレスをいかに効率よく管理すべきか、という問題に直結しているということを、システム管理者・ネットワーク管理者は、肌身で感じているのである。
そうした状況について、インフォブロックスでシニアセールスマネージャを務める能地將博氏は、「サーバやクライアントPC、IP電話などのIPアドレスを必要とするIPデバイスが増加することで、IPアドレスの設定・変更の頻度も増加している」と説明する。
能地氏の説明によれば、IPアドレス管理(IP Address Management:IPAM)には現在2通りあるという。一つは、Excelなどの表計算ソフトで固定IPを管理するという“固定IP派”であり、もう一つがDHCP/DNSサーバで運用するという“DHCP/DNSサーバ派”だ。
固定IP派の場合、IPアドレスを設定するためにマシンの前まで出向く必要がある。本社内だけでも一苦労だが、これが地方の拠点のマシンとなると、その苦労はより大きいものになる。こうした事情から、IPアドレスの設定・変更がタイムリーにできなくなるというデメリットがあるし、IPアドレスを間違って重複して配布してしまうという問題を抱える可能性がある。
もう一方のDHCP/DNSサーバ派だと、地方の拠点であってもリモートでログオンすればいいのだが、実際の拠点の状況が分からないというデメリットがある。また、集中して管理することもできないといった問題も抱えることにつながる。加えて、固定したIPアドレスを設定したマシンの場合は、別に管理する必要も出てきて、管理に手間がかかることになってしまう。
こうしたことから、能地氏は「IPアドレス管理の重要性が高まっている」と強調している。
インフォブロックスでは従来、こうした課題に対して、Linuxを中心としたUNIX系でIPアドレスを効率よく管理するためのDHCP/DNSのIPAM専用アプライアンス「Infoblox」シリーズを提供してきている。その中で同社は、これまでに主に大企業を中心に製品を提供してきていたがより層の厚い「中堅企業は手つかずの状況だった」(同社代表取締役の岡田卓也氏)という。
そうした中堅企業では、DNSやDHCPなどの基盤としてWindows Serverを活用しているが、含まれる「Microsoft DNS/DHCPの管理機能が限定されている」(能地氏)ために、機能を補完するものとしてWindows Server向けIPAMアプライアンス「Infoblox IPAM WinConnect」(日本語版)をこのほど発表、販売を開始している。
このアプライアンスを活用すれば、固定IP派に対しては、マシンのMACアドレスにひも付けて固定IPを配布できる。これによって「固定IPのセキュアさを維持しながら、利便性・管理性を大幅に向上することができる」(能地氏)という。
また、DHCP/DNSサーバ派についても、ネットワークの状況をリアルタイムで把握することができ、複数の拠点に分散配置されているDHCP/DNSサーバの全体を把握することも可能になっている。
IPAM WinConnectは、同社のInfobloxシリーズに搭載されて提供されるが、販売は伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、ソリトンシステムズ、テリロジー、東京エレクトロンデバイスといった代理店を通じて行われる。参考価格は500IPアドレスを管理するものとして71万9000円となっている。