有限責任中間法人JPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)および独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)はこのほど、2007年度第4四半期におけるソフトウェアなどの脆弱性関連情報に関する届け出状況をまとめ、発表した。
同四半期のIPAへの脆弱性関連情報の届け出件数は、ソフトウェア製品に関するものが66件、ウェブアプリケーション(ウェブサイト)に関するものが80件の合計146件であった。2004年7月の届け出受付開始からの累計は、ソフトウェア製品に関するものが626件、ウェブサイトに関するものが1123件の合計1749件で、ウェブサイトに関する届け出が全体の3分の2を占めた。
また、届け出受付開始から各四半期末時点までの業務日1日あたりの届け出件数が、同四半期で2.05件となった。届け出件数は年々増加しており、脆弱性の届け出制度が浸透し、潜在していた脆弱性が顕在化してきているものとみている。
脆弱性の修正完了件数では、ソフトウェア製品に関するものが31件、ウェブサイトに関するものが93件の合計124件であった。届け出受付開始からの累計は、ソフトウェア製品に関するものが254件、ウェブサイトに関するものが748件の合計1002件となり、1000件を突破した。同四半期はソフトウェア製品の修正完了件数、ウェブサイトの修正完了件数ともに過去最多となっている。
ソフトウェア製品の脆弱性の処理状況では、JPCERT/CCが調整を行い、製品開発者が脆弱性の修正を完了し、JVNで対策情報を公表したものは31件であった。製品開発者からの届け出のうち製品開発者が個別対応を行ったものは0件、製品開発者が脆弱性ではないと判断したものは2件、告示で定める届け出の対象に該当せず不受理としたものは8件となっている。
これらの取り扱いを終了したものの合計は41件(累計372件)で、この結果、取扱中(製品開発者が調査、対応中のもの)が25件増加し、254件となった。同四半期のソフトウェア製品の脆弱性対策情報の公表件数は31件と、過去最多となった。このほか、海外のCSIRTからJPCERT/CCが連絡を受けた17件(累計303件)をJVNで公表している。
また、組み込みソフトウェアの脆弱性は、同四半期までに累計で13件公表した。対象となる組込み機器の内訳は、ルータやスイッチなどのネットワーク機器が5件、プリンタやハードディスクなどの周辺機器が3件、携帯電話が3件、DVDレコーダなどの情報家電が2件となっている。
今後、情報家電がインターネットに接続されるようになると、組み込みソフトウェアの脆弱性の顕著化が予測され、組込みソフトウェアの開発者は、製品の開発段階からセキュリティの考慮が必要になるとしている。
ウェブサイトの脆弱性の処理状況は、IPAが通知を行い、ウェブサイト運営者が修正を完了したものは93件、ウェブサイト運営者が脆弱性ではないと判断したものは20件、ウェブサイト運営者と連絡が不可能なものがゼロ件、告示で定める届け出の対象に該当せず不受理としたものは4件であった。
これらの取り扱いを終了したものの合計は117件(累計962件)で、この結果、取扱中(ウェブサイト運営者が調査、対応中のもの)のものが37件減少し、161件となった。なお、同四半期のウェブサイトの脆弱性の修正完了件数は93件と、過去最多となっている。
修正が長期化しているウェブサイトに対し、同四半期にIPAでは重点的な脆弱性対策を促した。この結果、90日以上対策が完了していないものが前四半期から22件減少し95件(前四半期は117件)となった。ただし、300日以上対策が完了していないものが39件(前四半期は50件)あり、IPAではウェブサイト運営者が脆弱性を攻撃された場合の脅威を認識し、早期に対策を講じるが必要があるとしている。