わたしはこれまで12年ほどの間、断続的に在宅勤務をしてきた。主な理由は、自分が辺鄙な場所に住んでいることだ。支社がどこにあろうと、そこまでの自動車通勤は骨が折れるうえに、非効率でコストもかかるのだ。また、わたしは隠者気質なので、在宅勤務の方が関わりのあるすべての人々にとっても都合が良いのだ。
わたしが在宅で勤務していると言うと、たいていの場合はまったく正反対な反応のいずれかが返ってくる。「わぁ、それは素晴らしいだろうね!」か「どうしたらそんなことが続けられるの?わたしだったら3日目には頭が変になってしまうだろうなあ」といった反応だ。ときには、2番目の反応のバリエーションとして「わたしだったら仕事は何も片付かないでしょう。何もせずに1日じゅうテレビを見て過ごしてしまいそう」という反応が返ってくることもある。
在宅勤務を成功させる--生産性を確保し、同僚との横のつながりを維持し、幹部から忘れられないようにし、仕事と家庭生活の境目がわからなくなるほど仕事を家庭に持ち込んでしまわないようにする--には、何らかの規律と配慮が必要であることは確かだ。在宅勤務は誰にでも向いているわけではない。しかし、あなたがそういった勤務形態を気に入っており、それを続けていきたいと思っているならば、マネジメントを満足させ、同僚の気に障るようなことを避けるためにはどんなことでもしなければならないはずだ。
あなたが在宅勤務を検討しているのであれば、それがうまくいかない原因を知っておいた方が良いだろう。以下に挙げるチェックリストを読んでもらえれば、オフィスで働くという選択肢があなたにとってまんざら悪いものではないように思えてくるかもしれない。
#1:割り込みをかけられると、仕事の能率が落ちる
在宅勤務の一般的な魅力の1つに、自宅で働くことによって家事と仕事を両立させやすくなるという誤った考えがある。子どもであろうと、老人であろうと、あなたの自宅兼仕事場に同居しており、あなたが面倒を見なければならない対象に注意を向けることによって、集中力と生産性はかなり落ちてしまうだろう。
わたしは、両者のバランスを見つけることが不可能だと言っているわけではない。読者の多くがそういったバランスを見つけていると確信している(どうかコメントを寄せて、そのコツを教えてもらいたい)。しかし、あなたが家事と仕事を同じ時空間でこなそうと考えているならば、実際にどいういったことが起こるかを真剣に考えておく必要がある。
#2:仕事とは無関係の誘惑に負けやすい
自宅でもプロジェクトに集中し、自らの心に巣くう悪魔の誘惑の声に勝つことができるのであれば良いだろう。こういった誘惑には、冷蔵庫の中を漁りたい、洗濯をしたい、兄弟に電話をかけたい、請求書の支払い処理を行いたい、庭の雑草を抜きたい、犬を洗いたい、図書館から借りているスティーヴン・キングの本を読み終えてしまいたい、そのスティーヴン・キングの本を図書館に返しに行きたい、買ってきたDVDプレーヤーを接続したい、どこかに置き忘れた携帯電話を探したい、芝刈りをしたい、スポーツ情報番組を少しだけ見たい、eBayで入札状況をチェックしたい、などさまざまなものがあるはずだ。とは言うものの、オフィスで働いている従業員がオフィスなりのこういった類の行動を職場でとっていないわけではない(ただし、その頻度には差がある)。しかし自宅における誘惑はより強い(ずっとずっと強い)ものである可能性が高く、そういった誘惑に打ち克つ力となってくれる人間はあなたしかいないのだ。
もちろん、自分に対してある程度は寛容になる必要もある。しかし、在宅勤務をうまくこなそうとするならば、少しは自制しなければならない。あるいは、何かで自身を釣ることもできる。この手はおそらくうまくいくはずだ。わたしがこれまで使ってきた手として、ある時間がきたら、あるいは特定の作業を完了させたら、休憩をとったり、自らに褒美を与えるというものがある。確かに、これは幼稚園児への対応と似たところがある。しかし、あなたの心に巣くう悪魔が、わたしの悪魔と同様に5歳児程度の知能しかないのであれば、この方法を試してみる価値はあるだろう。
#3:作業に必要な機器やサービス、インフラを整えることができない
在宅勤務者としてわたしが抱えているストレスは、現在住んでいる山間地では高速インターネット接続に類するようなサービスを利用することができないことである。我が家でも衛星ブロードバンドサービスの契約を締結する寸前のところまではいったのだ。しかし、アンテナの取付時に業者に仰角と方位角を再確認させたところ、その業者を待っている何週間かの間に木々が成長し、衛星からの信号をブロックしてしまっていることがわかったのだった。これは冗談ではない。
そこそこの接続速度を確保することは、わたしの仕事においては重要である。あなたにとっても重要なことだろう。しかし、非常に高速な接続環境を保有していたとしても、自宅で行う仕事を困難あるいは不可能にするような機器やインフラの不足に直面することもあるはずだ。最適な作業環境を構築するために何が必要なのか、よく考えておかなければならない。オフィスで働く従業員と同様に、あなたも必要なものを揃えるうえで会社から手助けをしてもらえるかもしれない。とはいうものの、中途半端なサービスや不十分な設備を使って毎日作業を行わざるを得ない状況には陥りたくないはずだ。