「これまでのBIは、独立したソリューションとして考えられていたが、これからのBIはIT全体の中に透過的に組み込まれていくことになるだろう。言い換えれば、先端技術を追求しながらも、ビジネス系、人間系の融合を実現した企業が勝者となるだろう」(山本氏)
同氏はさらに、「これまでのBIは、過去から今を学ぶというものだった。これからのBIは、さらに未来を予測し、いかに行動するかを導きだせる仕組みが重要になる」と言う。
しかし、ユーザーにとって従来のBIブームは、不満足な状況が続いていた。これまでのBIブームでは、さまざまなソリューションが提供されてきたが、導入してみると壮大なレポーティングシステムに終わっていることが多かった。「しかし、ユーザーがあきらめていないのがBI市場の特長でもある」と山本氏。
「今回のBIブームでは、実際に構築するシステムを、より一層ユーザーの理想に近づけていくことが重要になる。たとえば、よりシームレスにシステムに組み込まれ、よりシームレスにビジネスと融合することが必要だ。ユーザーも勉強していて、壮大なレポーティングシステムではなく、リアルタイムに情報を分析できる仕組みが必要だと考えている」(山本氏)
2008年のBI市場とジールの取り組み
こうした背景のもと、2008年のジールは、これまで通りに幅広い規模のBIソリューション構築を推進していくことになる。ユーザーの要求にどこまで応えられるかが、同社にとって今後最大の鍵になる。
山本氏は、「今後は、より一層顧客満足度の向上に注力していくことが重要だと考えている。3度目のBIブームを“2度あることは3度ある”ではなく、“3度目の正直”にしなければならない。そのためには、BIツールを有効に使いこなすための青写真をいかに書けるかがポイントになる」と話している。
「我々は、グローバル企業に対するBIソリューションの導入から中小規模の企業へのBIソリューション導入まで、数多くの経験や実績、ノウハウを持っている。この経験や実績、ノウハウこそが、パッと出のBI企業とは違うジールの強みだ」(山本氏)
2007年には、BIツールベンダーの多くが大手ソフトウェアベンダーに買収された。これにより、今後のBI市場の先行きが不透明な点もあるが、BI構築サービスを提供するというジールのスタンスに変化はない。
山本氏は、「冷静に分析すれば、今後のBI市場も大きな変化はないだろう。逆に業界の再編により、大きなチャンスがあると思っている。市場の変化に踊らされることなく、業界の再編をうまく追い風にして、顧客に最大の価値を提供できる施策を考え勝負していきたい」と言う。
「BIソリューション構築の老舗として、淡々とサービスを提供していきたいと思っている」(山本氏)