2008年は、京都議定書で定めた温室効果ガス削減の目標期間初年となり、各企業で環境問題に対する意識が高まっている。こうした中、アクセンチュアは4月23日、ITで環境に貢献する「グリーンIT」をテーマとした記者説明会を開催し、経営視点でグリーンITを推進すべきだとした。
Accenture グリーンITサービス グローバル統括パートナーのStephen Nunn氏は、「グリーンに対する取り組みを個別に見るのではなく、ITがグリーンに貢献できる領域を全体的に見る必要がある」と話す。つまり、データセンターの省力化のみならず、IT機器の電力量削減、オフィス環境、調達方法、サプライチェーン、自宅勤務をはじめとするワークスタイルの多様化なども考慮すべきというのだ。
Nunn氏は、「環境対策とビジネスは両立できる」と主張する。例えば、仮想化技術を利用したIT環境を構築することで、エネルギーコストの削減だけでなく、IT資源とオペレーションの効率化にも結びつく。また、サプライヤーや顧客とのコラボレーションを改善することでCO2排出量が削減でき、遠隔地での作業環境を整えることで通勤時間や通勤時の排気ガス削減はもちろん、従業員の作業効率化も実現できるといった具合だ。
企業がグリーンIT構想を立案するにあたっては、「5つの点を明確にしなくてはならない」と、アクセンチュア システムインテグレーション&テクノロジー本部 データセンターテクノロジ&オペレーションズ 統括パートナーの森泰成氏は説明する。その5つの点とは、1. CIOとしてのミッションや立ち位置はどうあるべきか、2. 何を狙うべき効果とすべきか、3. 施策にどこまでフォーカスして取り組むべきか、4. どのような優先度で個別施策に取り組んでいくべきか、5. 個別施策はどのようなアプローチで進めていくべきかだ。
1.のCIOのミッションについては、企業によってCIOやIT部門と環境部門との関係性が異なるため、ITが貢献できる範囲を見極めてCIOの位置づけを決めなくてはならないためだ。2.の効果設定は、グリーンITの効果が多岐にわたり、ビジネスとの両立も可能なため、効果領域を幅広く見極める必要があるからだ。
3.の施策へのフォーカス度合いについては、CIOとしての立ち位置や実現すべき効果領域を踏まえれば、取り組むべき具体的施策の範囲は定まっていくとしており、4.の個別施策の優先度については、施策ごとの効果とコスト評価から判断すべきだとしている。また、5.の施策に対するアプローチは、企業の成熟度と改善機会を識別する「診断プロセス」から着手すべきだとした。
Nunn氏は、「環境対策に取り組むべきかどうかを議論している場合ではない。これは、すべての企業にとって必須の課題なのだ」と警告する。しかし、グリーンITに取り組むことは決してマイナスではなく、リソースの有効活用や組織のパフォーマンス向上といったビジネス効果をももたらすとして、「積極的に取り組むべきだ」と述べた。