電機大手11社の2007年度決算を読む--松下・シャープ - (page 2)

大河原克行

2008-05-26 16:00

社長1年目の成果にいくつかの反省点残るシャープ

 シャープは、売上高が5年連続で過去最高を更新し、前年比9.3%増の3億4177億円。だが、営業利益は1.5%減の1836億円、経常利益は1.3%減の1683億円と上期の低迷を下期に回復することができなかった。当期純利益は0.2%増の1019億円となっている。

シャープ 代表取締役社長 片山幹雄氏

 片山幹雄氏が代表取締役社長に就任して1年目となる2007年度。その成果について片山氏自身は、「1900億円の営業利益目標には到達しなかったこと、薄型テレビの年間900万台の出荷台数に到達しなかったことは反省点」とする。

 だが、明るい材料がないわけではない。

 例えば、2007年度下期は売上高・営業利益ともに、半期業績としては過去最高を記録そた。営業利益率は上期の4.8%から5.9%に大きく改善している。

 液晶テレビを中心とするエレクトロニクス機器の売上高は、10.8%増の2兆2917億円、営業利益は3.0%減の792億円。そのうち、AV・通信機器の売上高が15.7%増の1兆5989億円、営業利益は13.8%減の382億円となった。現時点では、国内戦略に特化している携帯電話事業は、3年連続での国内トップシェアを獲得。これも増収に貢献している。

 また、電子部品部門の売上高は12.9%増の1兆7628億円、営業利益は1.1%減の1043億円。そのうち液晶事業は、売上高が18.4%増の1兆2341億円、営業利益が12.5%増の879億円と大幅な増収増益となっている。

 一方、2008年度計画では売上高が前年比5.3%増の3兆6000億円、営業利益は6.2%増となる1950億円、経常利益は3.9%増の1750億円、当期純利益は3.0%増の1050億円と、いずれも過去最高を目指す。2007年度に未達だった経常利益および最終利益は、2007年度の計画値をそのまま2008年度の計画として再度掲げたことになる。

 エレクトロニクス機器の売上高は3.8%増の2兆3730億円、営業利益は6.0%増の840億円。そのうち、AV・通信機器事業の売上高は5.4%増の1兆6850億円、営業利益は11.0%増の425億円とする。好調な携帯電話は、国内における新料金制度の開始によって、前年割れとなる1.7%減の6400億円、台数では2%減の1480万台と需要の減速を予想。事業拡大に向けては、早期に中国市場での立ち上げに取り組む必要があるといえよう。

 また、電子部品部門の売上高は7.6%増の1兆8970億円、営業利益は8.5%増の1132億円。そのうち液晶の売上高は9.0%増の1兆3450億円、営業利益が8.1%増の950億円を目指すことになる。

 注目しておきたいのが、同社が第3の柱として掲げる太陽電池事業だ。2008年度の計画では、売上高が19.2%増の1800億円、営業利益46億円を目標とする。2007年度は原材料となるシリコンが不足したことが影響していたが、シリコンを自社生産する体制が整うとともに、調達体制も改善できたことから、海外需要を中心に大きな成長を見込む考えだ。

 次回はソニーと日立製作所の2007年度連結決算を読む。

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