MicrosoftはWindows XPベースの組み込みOSのVistaによる後継版に関する計画についてあまり触れていなかったが、同社はすでにそれに取り組んでいる。
Microsoftは6月の第1週に、最新のWindows XPベースの組み込みOSシステムの新テストビルドをリリースした。これは「Windows Embedded Standard 2009」と呼ばれ、最終バージョンは2008年末までに出荷される予定である。
しかしMicrosoftは2010年にむけて本製品の後継版についても準備を進めている――このさらなるWindows Embeddedリリースのコード名は「Quebec」である。Windows Embeddedの2009年リリースとは異なり、QuebecではWindows Vistaの一部を構成するいくつかの機能が活用されている。
MicrosoftはこのVistaベースの組み込みOSリリースについて、オーランドで開催のTechEd Developers Conferenceで今週なんらかの情報を明らかにする構えだ。Quebecの最初の広範なCommunity Technology Preview(CTP)テストビルドは来年のリリースが予定されている。
MicrosoftのWindows組み込みOS製品ラインは、なかでもシンクライアント端末、POS端末、ゲーム機器、医用画像システム、DVR、そして産業オートメーションシステムを動作させるために設計されたもので、機器メーカーに販売されている。しかしWindows Embeddedは携帯電話やULPC(Ultra-low-cost PCs)のコアには組み込まれていない。Windows Mobile端末は現在、Windows CEベースのコアに基づき構築されており、ULPCは完全なWindowsで動作している。(Microsoftは2010年までULPCメーカーがそのシステムにWindows XPを搭載して出荷することを認めた。)
来たるQuebec組み込みOSリリースには「BitLocker Drive Encryption」「Windows Firewall」「Windows Defender」「Address-Space Load Randomization」が含まれる――そしてメモリ管理サイドでは――「SuperFetch」「ReadyBoost」「Dynamic System Address Space」のサポートが含まれる。Quebecリリースはまた、ある特定のデバイスではオプショナルのコンポーネントとして「Aero」ユーザーインターフェース、「Windows Media Player 11」、そして多様な「Internet Explorer 7」の機能を提供する。32ビット版のみのXPベースの組み込みOSとは異なり、Quebecでは32ビットx86と64ビットx64の両方のプロセッサをサポートする。
当然ながらこうした全ての機能に対応することには代償を伴う――それはサイズである。TechEdの参加者に提供されるスライドによると、Windows XP Embeddedコアの最少イメージサイズは40Mバイトであるのだが、米国時間6月6日にTechEdで披露されるスライドによると、Quebecのコアは約300Mバイトになると予想されている――それもMedia Player、IE7その他のオプショナルのアドオンの全てが計算に入っているわけではない。
もうひとつの代償は、Quebecではプロダクトアクティベーションを必要とすることだ。これはXP Embeddedでは必要とされなかった。Quebecリリースでは基本的なリテールアクティべーションまたはOEMアクティベーションが必要だ。Quebecイメージをアクティベーションなしで30日間動作させるデフォルトの評価プロダクトキーもある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ