2極化が進むコラボレーティブソリューション市場--企業のコラボレーション基盤を考える(5)

富永康信(ロビンソン) 2008年09月08日 15時23分

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 コラボレーション基盤の見直しという意味では、「予定表」や「掲示板」といった特定用途の機能セットをパッケージ化したグループウェアアプリケーションへの乗り換えも検討の選択肢に入るだろう。今回は、情報システム投資の妥当性に焦点を当てつつ、SMBから大規模へと顧客の幅を広げていこうとしているサイボウズのグループウェア製品の動向を探る。

SMB向けグループウェアのニューリーダー

 中堅・中小企業向けのグループウェア市場においてサイボウズがシェアを拡大している。IT分野専門リサーチ会社のノークリサーチが2007年9月に発表した「ITアプリケーションの利用実態調査 (2007年)」によると、グループウェアパッケージ市場でサイボウズの導入率が25.6%となり、IBM Lotus Notes/Dominoの24.7%、Microsoft Exchange Serverの13.1%を退けトップとなったという。この調査は、2007年5月〜9月において、売上高5億円以上500億円未満の企業を中心に、中小企業 (売上5億円未満) から大手企業 (売上1000億円以上)を含めた819社からの有効回答を得て集計したもの。

 一昨年の同調査では、1位がNotes/Dominoで29.3%、2位がサイボウズ(小規模部門向けの「Office」と中堅大規模向けの「ガルーン」を合わせて)の24.6%となっており、初めて順位が逆転した形だ。また、今後導入を予定するグループウェアパッケージの調査でも、サイボウズを予定している比率が31.4%となり、Notes/Dominoの16.8%やExchangeの16.4%を大きく引き離す結果となっている。

Notesとサイボウズの比較は妥当か?

 調査会社のリサーチで「グループウェア」という市場カテゴリに、Notes/DominoやExchangeとサイボウズが並列に並んでいることからも分かるように、サイボウズはNotesマイグレーションの対象と見なされるケースも多い。だが、実際にはこれらの製品は、利用される目的や提供される機能が大きく異なっている。

 例えば、Notes/Dominoは大企業の組織を対象とするカスタマイズ(開発)を前提としたコラボレーティブソリューションであるのに対し、サイボウズのOffice 7やガルーン2はカスタマイズ不要のアプリケーションパッケージとして、比較的低コストで導入できるグループウェアという位置づけだ。

 Notesとサイボウズが同じ土俵で比較される理由には、情報システムに対する投資の見方が変わってきたことがあるようだ。初期のNotes導入企業では、Notesに精通した担当者が情報システム部門に在籍しメンテナンスを続けていたが、最近では人的リソースの再配置により専門家が減少し、Notesアプリケーションがブラックボックス化。サポートが終了、あるいは終了を目前に控えていることもあって、バージョンアップするか、他の基盤に移行するかの決断を迫られている。

 しかし、R4.xやR5.xから7あるいは8にバージョンアップするにあたり、新旧の間ではアーキテクチャが変更されたことから、アプリケーションの互換性や親和性がとれない問題も発生している。移行コストやライセンス継続のコストに加え、アプリケーションの修正にもコストがかかるとして、アップグレードをためらう企業も多い。

 また、ブーム全盛のころにNotesを導入した企業の中には、メール、掲示板、スケジューラといった基本機能の利用率は高いものの、ナレッジ共有、ワークフロー、EIP(Enterprise Information Portal)といった、本来Notesが本領を発揮すべき機能が使いこなせておらず、そのことを経営層が「非常にもったいない」と感じているところも多いという。その費用対効果におけるギャップが、サイボウズのようなパッケージ製品への乗り換えを選択肢のひとつとして浮上させている理由だ。

阿部一真氏 「Notesマイグレーションにはユーザータイプ別に3つのパターンがある」と語るサイボウズの阿部一真氏

 「Notesをこだわりなくライトに使っているユーザーの場合はサイボウズなどの新たなツールに乗り換えやすく、こだわりをもって使うヘビーユーザーの場合は最新のバージョンに移る。そして、ブラックボックス化して触ることができなくなったユーザーの場合は旧バージョンに留保といった、3つのパターンが考えられる」

 そう語るのは、サイボウズのカスタマー本部でMA営業部のマネージャーを務める阿部一真氏だ。

「Notes連携」から「Notes移行」へ

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