「今後、テクノロジーのイノベーションはクラウド上で実現されていく」
Google Inc.エンタープライズ部門製品企画担当ディレクターであるMatthew Glotzbach氏は、11月12日に開催された同社の企業向けソリューション紹介イベント「Google Enterprise Day 2008 Tokyo」において、グーグルが体現するクラウドコンピューティングが、エンタープライズシステムに対して与えるインパクトについて、製品デモを交えつつ訴えた。
「Googleエンタープライズ製品の現在と未来」と題された基調講演では、同社のこれまでの企業向けサービスや製品に対する取り組みを振り返るとともに、現在提供されている製品で、どこまでのことが実現可能になっているのかが示された。
グーグルの企業システムへのアプローチは、2002年に発売された「Google Search Appliance」(日本では、2005年にGoogle検索アプライアンスとして発売)に始まる。Glotzbach氏によれば、グーグルは「シンプルなインストールと保守」「質の高い検索結果」の2点を最重要課題として企業内情報検索分野に乗り込んだという。
そして、2004年にはウェブメールサービス「Gmail」の提供を開始。インターネット上で提供されるギガバイト級のストレージ、Ajaxを駆使したブラウザベースのリッチなユーザーインターフェース、強力な検索機能は、当時において極めて画期的なものであり、Glotzbach氏も「クラウドのパワーを初めて見せつけた、ウェブアプリケーションの進化だった」と自負する。そして、Gmailを端緒に生産性向上ウェブアプリケーション群である「Google Apps」の提供へとつながっていく。
同氏は、特に企業に対して今後グーグルがフォーカスする分野として「Enterprise Search」「Google Apps」「Geo(地図、航空写真)」の3つの分野を挙げ、Googleのイントラネット環境である「imoma」でのデモンストレーションを行いつつ、そこで実現されるコンピューティング環境を紹介した。
imomaの外見は、パーソナライズドホームページである「iGoogle」に似たもの。「Googleでは“検索”がすべての作業の出発点」(Glotzbach氏)と言うとおり、このイントラサイトは「検索」に最適化されている。Glotzbach氏が、「東京事務所のスタッフを探す」ために検索ボックスに氏名を入力すると、インクリメンタルサーチの要領でドロップダウンリストにスタッフのコンタクト情報が表示される。加えて、イントラネット検索ならではの機能として、ユーザー権限に応じた検索結果へのアクセスコントロール、デスクトップサーチとの統合、および検索結果画面に対してユーザーがWiki的に情報を追加できる機能が披露された。
シンプルな操作でリッチな情報を提示するユーザーインターフェース(UI)、ユーザーのリアクションが検索結果に影響を及ぼす「ソーシャルシグナル」、加えて管理面では多数のアプライアンスを統合可能なフェデレーション機能、管理APIの充実といった点が強調された。