ナンバーワンになるための秘策とは?--シマンテック新社長が語る - (page 3)

谷川耕一

2008-11-27 19:08

エマージングな製品にも積極投資

 加賀山氏は、11月21日に開催された年次カンファレンス「Symantec Vision 2008」の基調講演の中で、「3年以内に顧客満足度ナンバーワン企業になる」と宣言をした。これを、当面のシマンテック日本法人の最大目標にするという。これを実現するには、エンタープライズ市場におけるシマンテックブランドの向上、製品やサービスの質の向上、つきあいやすい会社となるためのプロセス作りという3つに注力する。

 シマンテックには、アンチウィルスなどのエンドポイントセキュリティやバックアップ、ストレージ管理など、従来のコアビジネスがある。この分野の売上はいまだ大きく、シマンテックのビジネスを引き続き支える部分となっている。ここ最近は買収により製品の種類が増え、現在シマンテックでは約200の製品を抱えているが、ビジネスの中心となっているのはそのうちの10種類程度に過ぎない。

 このコアビジネスとなる分野には、最近市場でも注目されているアーカイビング、コンプライアンス、メッセージングセキュリティなど、成長中のビジネスがある。この領域ではすでに市場での認知度も高く、パートナー企業と一体になって、市場ニーズをつかみビジネス拡大を目指すことになる。

 コアビジネス以外では、シマンテックがフューチャービジネスと定義する分野がある。ここには、企業内SaaSやエンドポイント仮想化ソリューション、クラウドベースサービスなどのエマージング(新興)技術を採用した製品およびサービスが位置づけられている。企業内SaaSなどは、今後エンタープライズ市場におけるシマンテックのブランディングを向上させるきっかけになるはずだと加賀山氏は説明する。

 エマージングな技術を使った製品群をパートナー任せにしていても、顧客には受け入れられない。そのため、「シマンテック自ら顧客の元に出向き、直接説明する機会を持つ」と加賀山氏。こうすることで、新しい技術の製品市場が拡大されるのだ。エマージングな技術については、それを提供するベンダー自らが「丁寧に市場を作る責任がある」と加賀山氏は言い、市場をきちんと作ってからパートナーに協力してもらう体制に移行するとしている。まずは、より多くのエンドユーザーの元をシマンテックの社員が訪れ、直接説明し、直接サポートするという活動を新たに実践することになる。

 エンタープライズ市場でのブランディングを向上し、同時にエマージングな市場を開拓する。そのためには、これまでのパートナー中心のビジネスだけでなく、シマンテックという会社そのものが境界なく活動するよう確実に変化する必要がある。シマンテックが変化するには、加賀山氏が半年かけて取り組んできた社員へのフィロソフィーの啓蒙と、それによる社員自身の気づきと変化が威力を発揮しなければならない。社員の行動の変化があれば、顧客に理解されて顧客満足度の向上につながる上、自分たちの定義した戦略領域でナンバーワンになるというシナリオもより現実味をおびてくるだろう。

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