ビジネスマン&ビジネスウーマンの皆様、こんにちは。今回から「『あったらいいな』を実現する企業」の連載を始めさせていただくことになりました。本連載は、外からは見えにくかったり分からなかったりする企業のユニークな制度や仕組み、試みなどを探っちゃおう!というものです。制度というと難しく固いイメージですが、もっと働く側として「へぇ〜いいな〜」とか「なるほどな〜」と感じる面白い試みをどんどんご紹介できればと思っています。
目に見えるご褒美がやって来る
第1回目の「あったらいいな」は、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)の報酬・報奨プログラム。その名も「eAwards」と「シャイン賞」です。
日本HPは、「Great Place to Work Institute Japan (GPTW)」が実施する日本の「働きがいのある会社」調査で、2007、2008年共に10位以内にランクインしています。そして、その理由となる社員の声として「社員の能力やキャリアプランに応じて異動できる制度がある」、「学歴、職歴、性別等に全く関りなく、力を発揮する場を与えられる」などが上がっていました。
同社のコーポレートコミュニケーション本部 部長の本田光広さんと、同部 男鹿谷尚子さんにご説明いただきました。
本田本部長によれば、日本HPの社員に対するキャリア開発への姿勢は「自分の仕事の環境やキャリアは自分のモノ、自ら考え切り開いて行ってください。それを会社やマネージャがサポートします」というスタンスだそうです。現在日本HPでは、社員と会社が共に成長し、共に成功するための「People Promise(ピープルプロミス)」というフレームワークを用意し、人材の多様性、キャリア開発、タレントマネジメントなど16項目でキャリア開発に取り組んでいます。このフレームワークには項目ごとに具体的な制度や仕組みが盛り込まれていて、ユニークなものも多いのですが、今回は報酬・報奨制度にフォーカスしてみました。
ポイント制の報奨プログラム
グローバル、部門別、日本HP全体の3体系で運用し、貢献度に応じて支給されるのが通常のボーナス制度ですが、それとは全く別に同社では「eAwards(イーアワード)」と呼ばれる全世界共通の報奨プログラムが用意されています。このeAwardsがユニークなところは以下の点です。
- マネージャ層が自分の裁量で、がんばった社員に対して報奨を与えることができる
- 報奨を与える対象となるのは、直属の部下のみならず関連業務にかかわった他部署の担当者も含まれる
- 報奨はポイント制で、1ポイント1ドルとして給与時に換金できる
例えば、人事部が主導で行ったある社内のセミナーにおいて、総務の鈴木さんとコミュニケーション部の山田さんがプロジェクトメンバーとして関わったとします。その結果、プロジェクトは大成功し、そのお礼に人事部の上司が、プロジェクトのチームリーダーと総務の鈴木さん、コミュニケーション部の山田さんにそれぞれ200ポイントを渡します。この時点でメールによる通知が送られ、直接の上司が承認した後、ポイントが付与されます。換金はいつでもでき、給料と一緒に支払われるシステムです。