2つ目の傾向は、クラウドコンピューティングだ。クラウドコンピューティングでは、アプリケーションは企業の独自の領域ではなく、インターネット上の中央サーバで稼働する。クラウドコンピューティングは多くの形を取るが、Oracleの観点から見た好例はSalesforce.comだ。同社のかなり大規模なクラウドコンピューティングサービスは、どの顧客が何を購入し、その製品の保証がいつ更新の時期を迎えるかを追跡するといった、顧客関係管理(CRM)の日常的な業務で、OracleのSiebel事業と直接競合している。
しかし、Sunのハードウェア資産を取り込むことで、Oracleは独力で、特にSunが先ごろ再ローンチしたクラウドコンピューティングインフラストラクチャ「Network.com」を利用して、さらに柔軟にクラウドコンピューティングに適合できる。
財政面の複雑化
Sunの会長兼共同創立者であるScott McNealy氏、そしてCEOのJonathan Schwartz氏はなおさら、安心してため息をついているだろう。IBMとの買収交渉が決裂した後、Sunの株価は急落したが、Oracleの買収提案も審議されていたことで、なぜSunがIBMと度胸試しをし、その後IBMが去ってから取締役会がSchwartz氏を支持するとの声明を発表できたのか、その理由が明白になった。4月20日、Sunの株価は午前中の取引で36%増の9.07ドルに急騰した。
Oracleは、その価格を正当化しようと躍起になっているようだ。これによって、Oracleの1株当たり利益が大幅に増え、これまでの大規模な買収以上に同社に貢献すると主張している。
Oracleの社長Safra Catz氏は声明で次のように述べている。「この買収により、最初の通期会計年度に非GAAPベースで利益が少なくとも1株当たり15セント増えるものと期待している。われわれの推計によると、買収した事業は最初の1年で15億ドル超、2年目で20億ドル超の、非GAAP(一般に認められた会計原則)ベースの営業利益をOracleにもたらすことになる。これによりSunの買収では、BEA、PeopleSoft、Siebelの買収で計画していたものをすべて合わせたよりも、初年度の1株当たりの利益が大きくなるだろう」