開発者にとっては朗報といえる側面も
OracleがSun Microsystemsを買収することを発表した。今回の買収を、JavaをはじめとするSunのプロダクトを利用する開発者として、どのように考えていけばいいだろうか。
今回の買収によってOracleはサーバやストレージをはじめとするハードウェア、Solaris、そしてJavaを獲得できる。これによりハードウェアからソフトウェアまでを網羅する統合されたソリューションを提供できるようになる。
従来よりハイエンドからミドルエンドのシステムでは「Oracle+SunのハードウェアあるいはSolaris」という組み合わせは一般的であり相性の良いものだった。したがってハードウェア製品全般やSolarisについては今後も生き残ると考えていいだろう。
――いや、それどころか各製品の連携がより緊密になるということで、Oracleを必要とするシステムの開発者にとってはむしろ朗報と言える面もある。
オラクルはJavaのオープン性を維持するのか
気になるのはやはりJavaや各種ミドルウェア製品群、オープンソースプロジェクトに対する扱いである。
両社は20日の発表の中で「Oracleが手にした最も重要なソフトウェアはJavaである」とはっきりと名言している。素直に受け取れば、この買収によって開発者がJavaに対する興味を失わないよう、Oracleは全力で取り組んでくれることだろう。もともとJavaはOracleのミドルウェア製品の中核を成す技術であり、Java開発者にとっては悲観すべき状況ではないように思える。
一方でオープン性の維持という点はどうしても不安がつきまとう。2006年に達成されたJavaのオープンソース化は、Java開発者にとって(そしてSunにとっても)長年の悲願だった。OpenJDKプロジェクトが軌道に乗りはじめ、次期バージョン「JDK 7」の開発も進んでいるだけに、OracleがJavaのオープン性に対してどういう戦略を取るのか、目を離せない問題だ。
加えて、ただでさえ遅れがちなJava 7の仕様策定がさらに後ろにずれ込むのではないかといった懸念もある。とはいえ、OracleもJCP(Java Community Process)のExecutive Committeeとして長くJava仕様の策定に関わってきている。コミュニティと良好な関係を維持するために、なすべきことについては十分に心得ていると信じたい。
GlassFish、NetBeans、MySQL、VirtualBoxは――
ミドルウェア製品群と各種オープンソースプロジェクトの先行きについては、Javaほど楽観視できないように思える。