シマンテック、あらゆる場所の重複データ削減を宣言--NetBackupで機能強化

渡邉利和

2009-07-14 17:26

 シマンテックは7月14日、バックアップやアーカイブにおけるデータの重複を排除するための新戦略と、重複排除機能を強化したNetBackup製品群の新バージョンを発表した。

 Symantecの情報管理グループ担当シニアバイスプレジデント、Deepak Mohan氏は、同社の「重複排除戦略」として「あらゆる場所でのデータを削減」「複雑性を軽減」「インフラを削減」の3要素で“データストレージのダイエット”手段を提供していくと述べている。

Deepak Mohan氏 Deepak Mohan氏

 データの重複排除(deduplication)には、同じプレゼンテーション資料が複数の受信者宛にメール添付で配布される場合のような、同一ファイルのコピーが複数作成される場合と、内容が少しずつ異なる複数バージョンのファイルの共通部分と差分を分離し、共通部分の複数コピーを作成しないようにする技術がある。シマンテックはそれぞれの機能を「ファイルレベルの重複排除」「ブロックレベルの重複排除」と呼ぶが、同社にはどちらにも対応する重複排除技術があるという。

 シマンテックでは今後、重複排除技術をさまざまな製品群に組み込んで提供していく計画だ。

 まず、エンタープライズ向けのバックアップソフトウェア「NetBackup」の最新バージョン「NetBackup 6.5.4」では、従来バージョンで対応していたVMwareとほぼ同レベルの対応を、MicrosoftのHyper-Vに対しても実現した。仮想化環境対応の強化を中心としたバージョンアップだが、中でも重複排除の機能を強化。多数の仮想サーバイメージを効率よく、より少ないストレージ容量で保存可能になるという。ファイル単位のバックアップとディスクイメージバックアップを併用する必要がない同社独自の「Granular Recovery Technology」(GRT)により、イメージバックアップから任意のオブジェクトを抽出できる「シングルパスバックアップ」が実現していることもデータの重複排除に繋がっているという。

 Mohan氏は「ストレージ減量計画の3つのステップ(3 step Storage Reduction Program)」として、(1)ストレージ統合によってストレージを有効活用する、(2)重複排除によってデータ保存量を削減する、(3)仮想化によって投資効果の改善を図る、という3段階での取り組みを推奨した。

 同社の重複排除技術への取り組みでは、「あらゆる場所でデータを削減」することが重視されている。メールデータなどは、アーカイブの段階で重複排除を行なう。また、データセンターのデータに対して重複排除を実行すると、DRサイトにデータをコピーする際にも移動すべきデータ量が削減され、通信回線帯域やコピーに要する時間を軽減できる。

 また、リモートオフィスのデータを中央のデータセンターで一括してバックアップする場合には、リモートオフィスでまず重複排除を実行することでバックアップ対象となるデータ量を大幅に削減できる。データのソースに近いところで重複排除を実行すれば、コピーやバックアップの対象データ量を大幅に削減でき、得られる効果も大きいことから、シマンテックでは「あらゆる場所でデータを削減」することに取り組むというわけだ。

 重複排除機能を実装する製品は各社から提供されているが、複数のポイントで適用可能な重複排除技術をさまざまな製品群に組み込んで包括的に取り組む点が、同社の戦略の特徴だと言えるだろう。

 なお、シマンテックでは「OpenStorage API」(OST API)を通じてData Domain、Quantum、Falconstor、EMCの4社の重複排除ストレージを統合し、集中管理することが可能になっている。今後もこうした協業関係を拡大し、国産ストレージベンダーにもOST APIへの対応を働きかけていくという。

 今後のロードマップでは、2010年に出荷予定のNetBackupのメジャーバージョンアップ版「NetBackup 7」で、バックアップクライアント側とNetBackupメディアサーバ側に重複排除が統合される計画だ。今年後半出荷予定のNetBackup PureDisk 6.6やBackup Exec 2010でも、重複排除機能の強化が計画されている。

重複排除に関するシマンテック製品のロードマップ(画像をクリックすると拡大します) 重複排除に関するシマンテック製品のロードマップ(画像をクリックすると拡大します)

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