シーメンスPLMソフトウェアは、要件定義から設計、製造、さらにサポートまでに至る製品ライフサイクル全体の生産性を向上させるソフトウェア製品の最新バージョン「Teamcenter 8」に関する製品戦略と、IBMとの協業に関するプレス向けの説明会を開催した。
Teamcenter 8は、製品の設計データへの容易なアクセスを可能にし、データの再利用性を促進、開発者同士のコラボレーション環境を提供することで、製品開発におけるライフサイクル管理を最適化し、生産性を向上させるソフトウェア製品。最新バージョンでは、個人の生産性、アプリケーションの生産性、ITの生産性の3つの生産性を向上できる機能が搭載されている。
個人の生産性を高めることが企業の生産性向上につながる
個人の生産性向上では、開発者がいつも利用している使い慣れたツールやプロセスからTeamcenter 8へ直接アクセスできる機能が搭載されている。シーメンスPLMでは、企業全体の生産性を向上させるためには、まず個人の生産性を高めることが必要であると考えており、1人ひとりの生産性が向上されることで、これが企業全体に波及するとしている。
具体的な機能としては、まずMicrosoft Outlookをユーザーインターフェースとして利用することが可能。Outlookに組み込まれた「Teamcenter To Do List」を利用することで、Teamcenter 8に管理されているスケジュールやワークフロー、設計変更情報などをシームレスに利用することができる。
また、Microsoft Office製品群との連携機能も強化されており、WordやExcel、PowerPointなどのツールバーに追加されたTeamcenter 8の「リボン」と呼ばれる機能をクリックするだけで、Word、Excel、PowerPointからTeamcenter 8を通じて製品情報に直接アクセスすることができる。
さらに、市場に広く普及しているECADソリューションとの連携も可能。Mentor GraphicsやCadence、Intercept、Altinumなどと密に連携されており、部品表(BOM)も管理することが可能。加えてゲートウェイを介してECADを活用することもできる。そのほか、構成管理ソフトウェアであるIBM Rational ClearCaseと連携することで、PLMとアプリケーションライフサイクル管理(ALM)を密接に連携することもできる。
もちろんシーメンスPLMの提供するCAD/CAM製品であるNXとも統合が可能で、2つの製品を組み合わせることで、NXからTeamcenter 8の機能を利用することができる。また、CADデータをメールで送信してフィードバックを得たい場合、CADのデータサイズが大きいために現実的ではない。そこで有効になるのがJTテクノロジであり、Teamcenter 8に新たに搭載されたJT Ultra Lightweight Preciseにより、元のデータの1%程度に圧縮することができる。
IBM製品との連携強化、「短期間でのROIの回収」が可能
次に、アプリケーションの生産性向上で最も必要になるのは、エンドツーエンドで提供できるPLMソリューションであることだ。ここでいうエンドツーエンドとは、要件定義から設計、製造、そして最終的なリサイクルまでを意味している。また、ターンキーソリューションであることも重要で、新たにデータベースを構築したり、システム間の統合を行ったりすることなくPLMソリューションを導入できる。
最後にITの生産性向上では、マルチベンダー対応およびマルチプラットフォーム対応という強みを発揮する。Teamcenter 8では、IBMソリューションとの連携を強化したことで、IBMユーザーに向けた強力なメッセージを提供している。また必要な機能をテンプレート化ができることも強みのひとつ。Teamcenter 8を導入する場合には、まず基盤となるFoundation Templateを展開し、その基盤の上に必要な機能を組み込んで行くことができる。
IBMとの提携についてシーメンスPLMのアジア太平洋地域 エンタープライズ・ポートフォリオ・ソリューション担当 マーケティング・ディレクターであるSammy Sit氏は、「高いコンサルティング能力と高性能なソフトウェア製品を持つIBMと、PLMソリューションのリーダーであるシーメンスPLMの2社が戦略的な提携を結ぶことで、ベストなソリューション、短期間でのROI(投資利益率)の回収、イノベーションなど、両社の顧客により高い価値を提供することができる」と話している。