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エンタープライズソーシャルコンピューティングの導入に立ちはだかる10個の問題 - (page 3)

文:Dion Hinchcliffe(Special to ZDNet.com) 翻訳校正:村上雅章・野崎裕子

2009-08-04 08:00

4.上級幹部にソーシャルツールを使ってもらえない。筆者は以前から、大企業におけるほとんどの上級幹部のITシステム利用が、Microsoft OutlookであれBlackBerryであれ、あるいは業績情報画面であろうと閲覧のみに終わることが多いと述べてきている。企業におけるソーシャルツールの採用は、その企業の上層部が率先して利用する場合に大きな効果を発揮するということが初期のエンタープライズ2.0に関する事例研究からも確認されているものの、上層部の人々はそういったものの利用に割ける時間が最も少なく、実践的な利用経験もほとんどないことが多いのである。(備考:エンタープライズ2.0は、エンタープライズソーシャルコンピューティングのごく一部でしかないものの、非常に重要な地位を占めている。)上級幹部が、公私を含むほとんどのソーシャルコンピューティングへの取り組みに参加していないという話を近頃しばしば耳にするようになってきている。ソーシャルコンピューティングには、組織内およびネットワーク間に存在する「思考の余剰」(cognitive surplus)を利用するという意味合いが強くあるため、長期的な観点から見た場合、上述したことがソーシャルコンピューティングの成否に重大な影響を与えるかどうかについて、筆者は自分の意見を決めかねている。とは言うものの、短期的な観点から見た場合には、社内における採用の効果を失速させる原因となるため、重要なファクターであることに間違いはないだろう。

5.IT部門と、ソーシャルコンピューティングのイニシアチブをとる業務部門との息が合っていない。IT部門と業務部門の間に存在する悪名高い溝のせいで、ソーシャルコンピューティングのイニシアチブが何カ月も、場合によっては1年以上も進展しなくなることがしばしばある。IT部門はその間も、ソーシャルコンピューティングにおける最新のベストプラクティスを提示し続けながら、社内のソフトウェアやアーキテクチャ、セキュリティ、ガバナンス基準が求める要件を満たすようなソーシャルコンピューティングアプリケーションを見つけ出そうと(そして場合によっては開発しようと)するわけである。また、優れたソーシャルコンピューティングアプリケーションの多くが、新興の小規模企業によって開発されており、エンタープライズにおいて従来から提示されている要件をあまり重視していないということも、こういった問題に拍車をかけている。またIT企業も、ソーシャルコンピューティングのビジネスにおける側面をあまり理解できておらず、手元にある既存のソリューションを用いてビジネスニーズを解決しようとする傾向にある。こういったこと自体はバッドプラクティスであるとは限らないものの、感情的な問題に発展し、解決されるまで取り組みが進展しなくなることもしばしばあるのである。このことは、SharePointとエンタープライズ2.0の有名な一件を見ても明らかであるはずだ(関連英文記事)。

6.ソーシャルソフトウェアに対するサポートを取り付けるには、ROIを明示する必要がある。こういったことは、エンタープライズにおける一般的なソフトウェア買収(特にエンタープライズ2.0)で見られる典型的なアンチパターンである。ソーシャルコンピューティング固有の特異性というものも確かに存在しているとはいえ、成功事例が増加している現状において、ROIが明確ではないという反対意見は力を失いつつある。

7.セキュリティに対する懸念のせいで、パイロットプロジェクトや採用計画が滞る。ソーシャルツールによって、通常であれば社外に公開されないようなこと(企業ポリシーや手順、重要な手法、企業データ、知的財産など)も一般の目に付きやすくなるため、多くの企業はこういった重要な問題に対処するためのベストプラクティスが確立されるまで、ソーシャルコンピューティングの本格導入を見送ろうと考えている。ソーシャルコンピューティングツールにおけるセキュリティとガバナンスのいずれにも対処するツールが好意的に受け入れられる例が、このところ驚くほどに増えている。こういったツールについては、今後の記事で取り上げていくつもりである。

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